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古い街灯

私は街灯だ



昼は眠り


夜になると灯る


もう百年以上


この広場を照らしている


勇者が旅立つ朝も見た


魔王が降伏した夜も見た


結婚式も


お祭りも


誰かの涙も


全部見てきた


ある冬の日


一人の老人が私にもたれかかった


「今日も寒いな」


毎日来る人だった


何も話さず


少し休んで帰る


私は何もできない


ただ


灯りを少し明るくするくらいだ


春になった


老人は来なかった


夏も


秋も


冬も


二度と来なかった


ある日


小さな女の子が私を見上げた


「おじいちゃんがね」


女の子は街灯を優しく撫でる


「ここ、あったかいって言ってた」


私は何も答えられない


でも


その夜だけは


いつもより少し長く灯り続けた


翌朝


通りがかった旅人がつぶやいた


「この街灯……昨日は朝まで灯っていたそうだ」


誰も理由は知らない


街灯は今日も


誰かの帰り道を照らしている

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