表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/19

沈没

未明の港を、鐘の音が震わせた。


「アミア号が沈んだ!」


その報がギルドに届いたのは、太陽がまだ水平線の下にあった時刻だった。クナー港第五埠頭に静かに係留されていた船が、夜のうちに音もなく沈んだという。まるで、海に呑まれるように。


その名を聞いた瞬間、エミリー・フラーは思わず顔を上げた。


──クリフトンが帰還の足に使った、あの船だ。


すぐさま現地に赴いたギルド関係者や衛兵隊、スィニ商会の水夫らの報告は、信じがたい内容だった。


「潜って確認したが……船底に、穴が30以上も開けられていた。あれは……自然沈没じゃない。誰かが、意図的に沈めたんだ」


係留中の船に、静かに忍び寄り、底に複数の穴を開けて沈めるなど、よほど準備された計画的な犯行だ。乗員や積荷はすでに下ろされており、死者はいなかった。だが、その異常さは港の者たちの間でも恐怖を呼んだ。


ギルドに戻ったエミリーは、執務机に手をかけながら、ひとり静かに息を吐いた。


──何が起きているの?


「至高の白」と呼ばれるネックレス。エインズワース侯爵の依頼。莫大な報酬。そして、サファイア級冒険者クリフトンの凱旋。


そして、突然の沈没。


偶然にしては、出来すぎている。


「誰かが何かを……隠そうとしてる?」


エミリーの胸に、得体の知れないざわめきが広がっていく。まだ何も確証はない。ただ、不穏の気配だけが、海風とともに漂っていた。


それは、冒険者ギルドに渦巻く陰の兆しか。それとも、侯爵家を取り巻く何者かの策略なのか。


エミリーの瞳は静かに、港の方角を見据えていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ