プレゼント選び
両親もこのユグドラシルでの生活に慣れてきて本格的な冬に向けて寒くなりつつある日の午前中、俺は数日前にレベルアップした箱庭の機能を確認していた。
……両親があまりにもこのユグドラシルに興奮するもんだからすっかり確認するのを忘れていたのだ。
特に母親が家庭菜園や花を育てたいと言い出して、それならと使っていなかった温室を一軒家の横に設置してあげたのだが、気付けば数日経っていたということである。
▽箱庭レベル8
【エリア】 平原 森林 鉱山 Lv2 湖
【時止めの部屋】
【ダンジョン】 ※解放には1000ポイント
【地形編集】
【畑生成】Lv2
【両替】
「そうきたか……」
とうとう個人でダンジョンを所有出来るのか?
俺が知らないだけで世の中にはユニークスキルでダンジョンを所有している人がいるかもしれないが。
アイちゃん、これはダンジョンが出来るってことでいいんだよね?
『はい。レベル1だと15階層までですが、今後レベルがあがると階層や種類が増えていきます』
俺の箱庭が有能すぎて怖い。魔導スマホもダンジョンで問題なく使えると鳳凰からの報告も受けてるし、ヴァルグやジル、マリーにもダンジョンに潜ってもらってもいいかもしれない。そろそろ森林エリアでは同じモンスターばかりで飽きてきた頃だろうからな。
それとダンジョンの設置はギルドに近い方がいいだろうか?
現実世界のダンジョンだとスタンピードが起きたりした場合、ギルドが近いと壊滅する危険があるが、俺の箱庭産ダンジョンならモンスターが溢れることもないのだろう。森林エリアとかも結界が張ってあって出てこれないようになっているからな。
ということで今まで森林エリアの近くに作られた解体場があったが、それもこの際ギルドの横に併設しよう。
これでギルドと解体場とダンジョンの行き来がしやすくなる。
……俺もダンジョンに入ってみたい気持ちはあるが、俺自身がめちゃくちゃ弱い。強さをわかりやすく言うとスライム以上ゴブリン以下だろう。
なのでこういうのは適材適所というやつだ。強い人にダンジョンに行ってもらい、俺は……領主だからな。
ダンジョンを設置し終えた後、俺は屋敷に帰宅しセバスと安藤さんを執務室に呼んだ。
「如何致しましたか?」
「どうしたんだ春樹くん」
俺は冬に行われるカップルたちにとってはビッグイベント、クリスマスパーティーを開催しないかと提案した。
「お付き合いしてる方がいらっしゃらないのにですか?」
「セバスは一言余計だ」
「でも確かにクリスマスパーティーはいいかもしれないな。日本人にとっては当たり前の文化だが、異世界人にとっては初めてだろうし」
このユグドラシルも夏祭りの時より人数が増えて1人や家族だけで過ごしたい人もいるかもしれないが、一応全員に声をかけてみよう。
むしろこの人数だから出来ることであって、これ以上増えたら来年は全員開催は厳しくなる。
まだクリスマスまでには1ヶ月近くある。セバスには参加者の確認や、他に手の空いている参加者には集会所をクリスマス仕様にするのを手伝ってもらい、安藤さんにはクリスマスメニューを作ってもらうことになった。
「やっとあの生クリーム100キロを使える時がきたか。俺はケーキは専門じゃないからそこまで豪華なものは作れないがな」
安藤さんは知らないのだろうか?ケーキが作れるということ自体が凄いということを。
そして肝心な俺の担当は、子供たち用にプレゼントを用意する係だ。
俺は大人の意見も聞きたくて、アスを連れてショッピングモールに向かった。きっと影からラディも護衛してくれてることだろう。
今回用意するのは全部で6人分だ。
フィンとフィア、アルトにエレナ、そしてキルアとハンスだ。15歳のキルアと16歳のハンスは授業には参加していなく、もう大人とも思えそうだが年齢的には高校生ぐらいだ。ギリギリプレゼントの対象となった。
逆に19歳の五十嵐くんはもう子供ではないのでプレゼントの対象にはならない。
こうして俺たちはプレゼントの商品を選んでいるのだが、子供のプレゼントには何がいいのか正直さっぱりだ。
碧のプレゼント選びもいつも悩むというのに。
悩みに悩みまくった結果、フィンには走って遊べるようにサッカーボール、フィアには大きなぬいぐるみ。本好きのアルトには俺おすすめの漫画、エレナには1000ピースのジグソーパズル。キルアとハンスにはオシャレなマグカップとコーヒーのセットにした。
「うむ、良いものが買えたではないか」
「ああ、気に入ってくれると嬉しいが」
こうして俺たちのプレゼント選びは無事に終わり、屋敷に帰宅した。
ちなみにアスは目を輝かせて商品を見て回っただけで、プレゼント選びには全く役に立つことはなかった。
俺は人選選びを間違えたみたいである。




