すごろく
カイザー一家の果樹園の場所を決めてから数日後、俺は前にエリオットのために買おうとしていたボードゲームを注文していた。
こういうのは大人数でできる定番のやつが面白い。だから今回買ったのはすごろくだ。
エリオットの他にはフィンとフィア、エルとアスだ。本当はエルとアスではなく若くてみんなと仲良くなるきっかけになればと思い、新しく増えた五十嵐くんを誘ったのだがどうやら彼はここ最近ガンナーと橋本さんの建築組に混ざっているみたいだ。
前はバイトの掛け持ちを3つしていたらしく、力仕事なら任せてください!と嬉々として手伝っているらしい。
それなら仕方ないかと思い、エリオットとフィン、フィア、俺の4人ですごろくをしようかと思ったら何故かエルとアスが着いてきたのだ。それなら俺はツッコミ役にまわらないといけないだろうということで俺抜きの5人ですごろくをすることになった。
この人数でエリオットの家に押しかけても申し訳ないので1番広い屋敷の応接室に集まり、ルールや順番を決めていった。
「む、なぜ勇者が魔王を倒しに行くのだ。あ奴らは仲が良かったではないか」
そんなこと言ったら何も進まないから黙らっしゃい。そして異世界は勇者と魔王が仲良しな世界なのね、平和で良かった。
「はい、じゃあフィンからルーレット回して」
こうしてすごろくが始まった。
「エルは盗賊にやられて200万を支払う」
「なぜです?私であれば盗賊などには負けませんし、むしろ討伐して衛兵に首を持っていけば報奨金が出るはずです」
「確かにそれなら200万貰ってもおかしくないな」
全員頷いているが、そういうゲームなんだよ。そのマスに止まったら大人しく200万を払ってくれ……仮に討伐出来てもだ。
「仕方ありませんね」
これは納得していない顔だ。そのうち書き換えられた新しいすごろくが作られたりしそうだ。
「え!春樹兄ちゃん、落し物をして1回休みってなんでだよ!」
「ほら、落し物をしたら探さなきゃいけないだろ?だから足止めを食らって進めないってことだよ」
「そんな!俺たち匂いで落とした場所なんてすぐわかって進めるのに!」
それは獣人だけだからな。普通の人間は警察犬にはなれないんだ。
「依頼に失敗して違約金を払って1回休み……我は失敗などした事ないぞ。そして仮に失敗したのなら休んでる暇などないのではないか?働いて違約金分稼がないといけないだろう?」
もう君たちこのすごろく向いていない。すごろくを選んだ俺が悪かった、トランプにでもしておくべきだった。
それにしてもエリオットはずっと静かだ、ゲームは好きだけどすごろくは微妙だったか?
「このユグドラシル版すごろくを作ったら売れるかな……」
頭の中ですでにすごろくを作る計算をしていたみたいだ。
それにしてもユグドラシル版すごろくか……元魔王軍幹部に追いかけられてスタートに戻るとかかな。売れるだろうか?
その後もマスに文句を言いながらもすごろくは進んでいき、結局1位はフィアで2位3位はエリオットとフィン、4位にアスで最下位がエルだった。
「次やる時は指の角度をこうすれば6が出て……」
エルは負けたことが悔しいのかルーレットで必ず6を出す方法を考えているみたいだが本当に出来そうなのですごろくは当分禁止だ。
「私はユグドラシル版すごろくの設計を始めるのでそろそろ失礼します!」
「うむ、我も手伝おう」
「ルーレットを回す係なら私に任せてください」
そんなエリオットの呟きでみんな帰宅していく。多分1ヶ月後とかにはすごろくが出来てるいるんだろうな。
そういえばそろそろ秋が近付いてきているが、何かみんなで楽しめることはないだろうか?
夏は夏祭りをしたばっかりだからそこまで大きなイベントじゃなくていいんだけど。
食欲の秋、芸術の秋、スポーツの秋……
落ち葉を集めて焼き芋でも作るか?今年は畑でさつまいもは作ってないからスーパーで買ったやつになるが、それもまたいいだろう。
落ち葉は、世界樹の落ち葉使ったら怒られるだろうか?現実世界の人たちが知ったら激怒するだろうが、ユグドラシルでは世界樹の落ち葉は頻繁にとれるから良しとしよう。
後は芸術!俺は福田さんにあることを提案しに向かった。




