ゲームにハマる錬金術師
「春樹くん、この時々出る100kgシリーズはどうにもならないのか?」
俺は今安藤さんと厨房で頭を抱えていた。
蟹食べ比べセットみたいないい物が出るかもしれないと思って、あれから何回か食料ガチャを回しているのだが銀色のカプセルから出るのはどれも100kgなのだ。
「米やごま油、砂糖などはまだいい。だがさすがに乾燥パセリとわさび100kgはな……100年分はあるぞこれ」
マヨネーズ100kgの時に気が付けば良かったんだが、あれよあれよと気が付けばバターや小麦粉、乾燥パセリにわさびが100kgという料理人ですら少し困るラインナップになってしまった。
ヴァルグのアイテムリングに入れておくしかないかと思ったんだが、そういや俺のこのガチャの商品だけ収納しておける機能は腐らないんだったなと思い出しマヨネーズやバターなどとりあえず全部収納した。
危うくわさびを抱えて住民に配りに行くところだった。
「ご主人様、エリオット様がお越しです」
お、エリオットが来たということはついに完成したのか。
「わかった、すぐに向かうと伝えておいてくれ」
俺は安藤さんにたくさんの食材を押し付け……いや、貢いでエリオットの元へ向かった。
「待たせてごめん、エリオット」
「いえ、全然待っていないので大丈夫ですよ。それより魔導スマホが完成したので是非見ていただきたく」
ほえー、サイズも普通のスマホと大した変わらず重くもない。これでダンジョンでも使えるか実践して可能だったらこれも売りに出せると。どうやってダンジョンで試すかは考えないといけないけど、とりあえずここの住民用に配布が先だな。
「それでこれを作った報酬は何がいいか決めたのか?」
そう、エリオットは最初このユグドラシルが発展するのに必要ならタダで配布すると言い出したのだがさすがにそれは断った。
材料はこの箱庭で採取したり俺のガチャから出るものだが、技術料などはきちんと払わないと後々揉めたりしても嫌だからな。
「それなのですが……田中さんから“テレビゲーム”というものがあると聞いて気になってこの完成した魔導スマホで調べて見たのですが買っていただくことは可能ですか?」
テレビゲーム……Switchとソフトを何本かセットで購入してあげよう。通販で頼んだら郵便局にすぐ届くからな。
「注文したよ、一緒に郵便局に取りに行こう」
「っ…はい!」
とても嬉しそうな笑顔だ。どうしようこれでゲームにハマりすぎて引きこもりニートみたいになったら……まあそれもそれでいいか。
「吉田さーん!いつも受け取りありがとう」
「いえいえ、こちらこそ私にでも出来る仕事を頂けて嬉しいわ」
今は俺やセバスが注文した商品を受け取るだけだが今後この郵便局は忙しくなるんだ、今のうちに休んでおいてくれ吉田さん。
「早く帰ってこれやりましょう!領主様も時間ありますよね!?」
「あっ、ああ。初めてだし一緒にやるか」
初めてゲームを手にした小学生みたいな反応だ。そのうち人数集めてゲーム大会なんかをしても面白そうだ。
「あっ!そこにバナナを置くなんてひどいじゃないですか!」
俺たちは今、カートに乗って1位を目指すゲームをやっている。バナナでスリップしたエリオットは一気に順位を抜かれ落ち込んでいるが、あの顔は絶対諦めていない顔だ。
「ふふん、2位まで戻ってきました。そして私は赤甲羅を持っているんです!」
やばいやばい、手先が器用なのかすぐにコツやコースを覚えて俺に追いついてくるんだが。俺小さい頃からやっていて今1位なのに、なんか負けた気分。
「あーっ!どうしてここで雷が落ちるんですか!私の赤甲羅が!」
「はっはっはー!ざまあみやがれ!俺はまだ負けるわけにはいかん!」
コンピューターが運良く雷を落としてくれてアイテムが落ちた俺たちは順位変わらずそのまま1位と2位でフィニッシュ。
──奇跡的にゲームの先輩としての威厳が保たれた。
「ほら後これは色んなキャラクターがいて戦うゲームと、木や石、色んな素材で家や街なんかを作ったりする終わりがないゲームだ。暇つぶしにはなるだろう」
これでエリオットがゲームにハマる未来は見えた。きっと次は簡単にショートカットして俺が煽られるんだろうな……




