初めてのイベント
次の日の午前中、俺は屋敷の外で碧とジルの剣の訓練を見ていた。
「初めてにしては中々筋がいいな」
「ありがとうございますジル先生!」
そういえばガチャから木の木剣があったなと思い、俺も最初は碧と一緒に教わっていたんだがどうやら俺は運動が全くだめなタイプらしい。早々に諦めて碧の訓練を見学することにした。
「すごいな、俺はちょっと振っただけでもう筋肉痛になりそうなのに」
「子供だからか覚えもいい。あと何回か訓練すればスライムぐらいなら倒せそうだ」
スライムを倒してみたいと思ったのか碧がこちらを期待した目で見てくるが、森林エリアにはスライムは出ないんだ…すまん。
「今日はここまでにしておこう、休憩して昼飯を食べたら午後からエリオットのところに行くんだろ?」
「そうだった!ありがとうございました先生!」
みっちり2時間程訓練して俺たちは屋敷に戻った。
「春樹兄ちゃん、昨日教えてもらったからエリオットさんのところには1人で行けるよ!」
「そうか?箱庭内だから大丈夫だとは思うけど、気を付けて行くんだぞ」
「うん!」
さて、午後からなんだがやりたいことが1つあってそれの話し合いをセバスとマーサ、エルとガンナーも一緒にしようと思っている。
このユグドラシルにとって初めてのイベント事だ、みんな楽しんでくれるといいんだが。
「よし、みんな揃ったな。それで提案というか相談なんだが、碧が帰る前日に夏祭りを開催したいと思っているんだけどどうかな?」
「祭りっていうと、建国祭や収穫祭みたいなやつか?」
「ああ、人数がまだ多くはないから世界樹の近くでみんなでわいわい食べたり飲んだり、子供たちが楽しめるような催しをちょっとやってみたりする程度なんだが、夏の思い出になるかと思ってな」
「いいのではないでしょうか?私の家は世界樹の近くにあるといってもある程度の距離は離れていますし、家の反対側の広場なら十分な広さはありますよ」
「多分子供たちに内緒で進めることは難しいと思うからバレるのは仕方ないとして、セバスには設営などの進行、マーサはシルヴィアと一緒に料理、エルは夕方や夜になっても大丈夫なように世界樹の周りをエリオットと一緒にランタンなどで明るく飾り付けして欲しいんだ。そしてガンナーは出来た料理などを並べる屋台と、みんなが座って食べられる大きめのテーブルとイスを作って欲しい。1ヶ月弱という短い時間だけど手伝ってもらえないだろうか…」
「ご主人様にとってもこのユグドラシルで初めてのイベントなのです、全力で楽しめるように努力しましょう」
「うむ、1ヶ月近くあればすぐ作れるしのぅ。わしも酒が飲めるなら楽しみじゃ」
「世界樹の近くで祭りとなれば精霊たちも喜ぶでしょう」
「坊っちゃまの頼みとあれば仕方ありませんね!」
「みんな……」
改めて俺は従者や住民たちに恵まれているなと思う。時間も体力も限りある中でみんな嫌な顔ひとつせず手伝ってくれるなんて。
それから俺たちは料理は何がいいか、子供たちが楽しめる催しは何にするかみんなで話し合った。
「ヴァルグ様やジルヴェスターが狩ってきた森林鶏の唐揚げやボア肉の串焼きなんかは必要だろうね」
「私は焼きとうもろこしも欲しいですね」
「ご飯系は焼きおにぎりとかがいいかもしれないですね」
「他にもポテトフライやかき氷、きゅうりの一本漬けなんかもいいですね」
「わしはソーセージがいいぞ」
「子供たちにスイカ割りをさせるのはどうかな?」
俺はスマホでスイカ割りの映像を見せて、みんな賛成してくれた。フィンやフィアはまだ3歳だが力も強い、スイカぐらいなら簡単に割れてしまうからな。
他にも催しは輪投げに射的、ヨーヨー釣りに決定した。
準備が比較的簡単で、景品はスーパーのお菓子や現実世界でおもちゃを少し買えば済む。
よし、これで大体の話は決まりだ。あとは各々準備を進めていくだけ、明日から1ヶ月弱みんなで頑張ろうと気合を入れ俺たちは解散した。




