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異世界転生したら実妹ルートに突入しました~ただし、ハーレムは強制のようです~  作者: 朝霧雪乃


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第80話・ドールハウス


「ドールハウスですか?」

「ええ。そうなんです……」


 三つ編みの受付担当者さんが答える。

 探索者高校でダンジョンに入る手続きをしてたら、この人からその話を持ちかけられた。

 彼女の話では、数日前にとある探索者パーティーが挑んだものの、攻略に失敗。

 マジックアイテムを使って緊急脱出したが、残念ながらパーティー内に死者が出てしまったそうなのだ。


「しかし、なぜ生徒である自分に?」

「はい。この前ですが、篠《しの》さんは、魔女学園の中間試験に参加するために、魔女学園にあるダンジョンに入ってますよね?」

「あー、はい」


 永遠《とわ》から、「ちゃんと手続きをすれば大丈夫」と聞いていたけど。

 念のため、探索者高校に連絡して聞いてみたんだよね。

 そしたら、日本魔女育成学園と探索者高校は元から関係があったみたいで、魔女学園の試験に出るための欠席なら公的な欠席、いわゆる公欠《こうけつ》になるそうだったのだ。

 実は探索者高校のホームページや生徒手帳にも書いてあったが、そこまで詳しく見てなかったのでわからなかった。


「確認しますが、土日などの探索者高校がやってない日に、ほかのダンジョンに入る場合は許可が不要ということはわかってますよね? 篠さんの場合は、休日にダンジョンに入ったという記録がないのですが……」


 パソコンの画面を見ながら受付担当者さんがそう言う。

 そりゃあ、ダンジョンよりもミウたちとの生活の方が大事だからね。


「はい。基本的に休日はダンジョンも休みとしていますので。あと、事前に手続きして許可さえもらえば、探索者高校がある平日に探索者高校以外のダンジョンに入ってもいいのですよね?」

「ええ、その通りです。公欠《こうけつ》になります」

「わかりました」


 それなら考えてみてもいいかな? 


「それに篠さんは魔女学園の中間試験に起きた“事故”の解決もされてますよね? ですので、探索者協会としては、実力は十分にあると判断しております」


 あれは事故というよりも事件なのだが、一般的には事故という扱いなのだろう。

 まあいい。


「あのときは永遠――魔女学園首席の魔法使いがいたのですが……」

「それも把握した上での要望となっています。いかがでしょうか? 難しいようでしたらほかの探索者に回しますが……」


 受付担当者さんがどこか真面目な顔で聞いてくる。


「わかりました。確認しますが、前回のように公欠《こうけつ》という扱いになるんですよね?」

「はい。そうなりますね」

「わかりました。行ってみましょう」

「では、これから手続きしますね?」


 それから受付担当者さんから聞いたダンジョンにタクシーで向かう

 交通費は全額自費になってしまうが、バスなどで行くとなると、ミウの迎えが間に合わなそうだったのでタクシーを使ったのだ。

 一応、探索者協会が業務提携しているタクシー会社なので通常のタクシーを使うよりも安いらしいけど。



――



 そこは街はずれにあった洋館風の建物だった。

 防音仮囲いのようなもので隔離されており、唯一の出入り口には拳銃を携帯した警備員も立っている。

 警備員が拳銃を持つというのは前世の日本人なら馴染みがないように感じると思うが、海外では普通だったからね。

 俺個人としては特に違和感があるとは思わない。

 ダンジョン名としては「ドールハウス44番」と言うらしい。

 とりあえず近くにあったプレハブの事務所を訪ねて、そこで手続きをしてからダンジョンへと足を踏み入れる。


(ふむ……)


 中はホテルっぽい。

 正面に2階に行く階段があって、左側にフロントだ。

 天井から吊り下げられたシャンデリアの照明がついている。

 電気は通っているのかな?

 窓からは空も見える。

 そして、フロントには無数の人形が置かれていた。

 事前に調べた情報では、このダンジョンの魔物は人形型のみだそうだ。

 分類上では、ゴーレムに分類されるらしい。

 でも、人形が置かれているぐらいで魔物がいるようには感じない。

 魔法を使ってくれたら、たぶんわかると思うんだけど。


「ん?」


 カタっという音と共に何か動いたと思ったら、ハサミを構えたビスクドールが目の前に飛び出してきた。

 そのまま俺の胸めがけて突っ込んでくる。


「くっ――」


 とっさに脇差しを抜いてそれを弾く。

 あぶねぇ。

 ギリ間に合った。

 少しでも反応が遅れていたら、胸に突き刺さってた。

 軽い感じだったから、防弾ベストで防げると思う。

 防弾ベストは破損したら使い捨てにしないといけないのだ。

 だからなるべく破損させたくない。

 破損させなくても5年ぐらいで寿命が来るけど。

 カタカタ、カタカタという音を響かせながら、次々と人形たちが動き出す。


(もしかして、これ全部魔物か?)


 だとしたら数が多すぎる。

 ここは戦略的撤退をするべきだろう。

 入ったばかりで戻るのはちょっと嫌だが。


(あ、あれ?)


 振り返ったら入口が鉄格子でふさがれていた。

 急いでそこまで戻り、鉄格子をつかんで動かそうとしてみるも、びくともしない。

 でも、魔力は感じる。

 このダンジョン、罠《トラップ》型だ。

 特定の条件をこなさない限り解放されないやつ。

 この世界では「〇〇しないと出られない部屋」の元ネタになってるらしいけど。

 だからダンジョンなのに隔離されてて、中に誰もいなかったのか。


(ちっ。閉じ込められたか……)


 こうなったら戦うしかない。


「「「カタカタカタ――」」」


 口をパクパクさせながら球体関節人形が迫ってくる姿というのはちょっとしたホラーだよね。


「ふっ――」


 迫ってきた人形に向けて一文字斬りのように脇差しを横に振る。

 すると、あっけなく魔物の首が飛んだ。


(あ、あれ?)


 身体強化魔法も使ってない。

 思(・)っ(・)た(・)よ(・)り(・)も(・)強(・)く(・)な(・)い(・)ぞ、こいつら。

 数は多いけど弱いのかな?



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