第79話・妹を駄目にするお兄ちゃん
「兄さんは人を駄目にする気質があると思います」
永遠の髪を乾かしていると彼女がそんなことを言い出した。
「だよねー」
隣で顔に化粧水をつけてたミウがうなずく。
「そう?」
永遠と一線を越えてから数日がたった。
関係を持ってからは一緒にお風呂に入ることもあり、そのときに永遠の頭を洗ったり背中を洗ったりしているけど。
やっぱり美少女はいいね。
モチベが上がる。
「兄さんは介護福祉士や看護師でも目指したほうが良いのでは? あ、保育士もありますね……」
「よせよ。これはミウと永遠だからできることなんだぞ?」
「あとは、くるみちゃんとこむぎちゃん“も”だよね?」
笑みを浮かべたミウが補足するように声をかけてくるけど。
まあ、そうだね。
「そこを否定しないのが兄さんですよね……」
「だよねー」
妹たちの関係も特に悪くないと思う。
気を配ってたつもりだけど、問題が無いのならそれでいいだろう。
「明日は金曜日だから、くるみちゃんとこむぎちゃんが来る日だね?」
「あー、そっか。じゃあ、準備しないとね」
「うん。楽しみだね」
ミウは特にくるみと仲が良い雰囲気だった。
今も携帯でやりとりしているみたいだし。
こむぎの方はちょっとわからないけどね。
少なくとも悪くないとは思う。
それは永遠も同じだと思うけど。
「それで今日はここで寝るんですか?」
「うん。3人一緒にね?」
「わかりました。兄さんは真ん中ですね?」
「ああ」
今日は、ミウの提案で初めて3人でしてみた。
場所はこの部屋というか、ダブルベッドの部屋。
終わった後は、ミウと永遠を1人ずつお風呂に入れて、今現在。
2人から「タフ過ぎない?」とは言われたが、俺としては特に問題はなかった。
避妊魔法の持続時間も1回かけるだけで数時間は持つように伸びているし、精力の回復も早くなった気がするからね。
2人同時でも特に問題なかった。
――
「すみません、お兄様。こむぎがちょっと風邪気味で……」
翌日、玄関に入ってきたくるみから声をかけられた。
こむぎに目をやるもちょっと顔が赤い。
少しふらついているようにも見える。
これはいけない。
「わかった。ヒールかけるけどいい?」
「お兄、お願い。そろそろ限界」
「わかった。ヒール――」
最大出力でヒールをかける。
頭と喉を中心で良いかな?
念のために体全体にもかける。
一気に魔力が抜けて、体が鉛のように重くなる。
「どうだ?」
なるべく顔に出さないように注意しながらこむぎへと声をかける。
かわいいこむぎのためなら、この程度どうってことはない。
「お兄。さすが――」
「おっと」
勢いよくこむぎが抱き着いてきた。
抱きしめてから、彼女の顔色を盗み見るも問題はなさそうだった。
相変わらず体が細くて心配になる。
――
「それでこむぎちゃんがずっとお兄様のことを言ってて……」
「そ、そうなんだ……」
永遠やミウは一通りくるみとこむぎと話して満足したようで自分の部屋に戻っている。
そのため、俺と話すことになったのだが。
ダブルベッドの部屋に入ったら、こむぎが抱き着いてきてそのまま離れてくれない。
とりあえず頭を撫でるとこむぎが気持ちよさそうに目を細めていた。
まあ、控えめだけど、2つのやわらかいものを押し付けられて嫌がる男はいないと思う。
代わりに、こむぎの体には硬くなったあれが当たっているけど。
不可抗力だし、指摘されないのでこちらも何も言わない。
たぶん気づいていると思うけど。
「お兄好き」
「ふふ。俺も好きだよ? もちろん、くるみのことも好きだからね?」
くるみと目が合ったので彼女にも言葉を返して微笑む。
すると、すぐに顔を赤くしていた。
初心だねぇ。
ミウもそうだけど。
「お、お兄様。私もです。あと、こむぎばかりずるいです。くるみにもなでなでをお願いします――」
「わかった。こむぎちょっと右か左にずれて」
「んー」
こむぎが左にずれたから、くるみの頭を軽くなでなでしておく。
「お、お兄様――」
「ほら、くるみもこっちにおいで」
「はいっ――」
それから右手にくるみ、左手にこむぎ。
両手に花というのはこのことを言うんだろう。
不可抗力であれが押し付けられているから、キャバクラよりも、ちょっとエッチなお店のような感じだけど。
うん、それにハマる男の気持ちがわかる。
楽しい。
脳からよだれがドバドバ出てくる。
しゅき。
「それでですね、お兄様? 最初は自宅で休もうと思ったのですが、お兄様が回復魔法を使えるので無理をして……」
「ん? こむぎ、駄目じゃないか。途中で倒れたらどうするつもりだったんだ?」
「大丈夫。お兄が何とかしてくれる」
「すみませんお兄様。先週にお兄様と別れてからずっと楽しみにしてたみたいで……」
「そうなの?」
「はい」
先週というと久美子さんにお弁当を届けた後かな?
「あ。お弁当大丈夫だった?」
キャラ弁ではなくスーパーとかで売ってそうな普通のお弁当にしたやつ。
「はい。母も喜んでいました」
「うん。お兄の手作りって言ったらびっくりしてた」
「そうなんだ」
お弁当自体は仕事を含めて何回も作ってた経験があるからね。
「ただちょっと申し訳ないということも言ってて……」
「そう? 俺としては喜んでもらえたのならそれでいいかな? あ、苦手なものとかあったらそのまま廃棄してもらって構わなかったんだけど……」
「いえいえ。そんなもったいないことはできません。でしたら、こむぎと分けて食べます」
こむぎがこくりとうなずく。
「ならいいけど……」
ちなみに、くるみが羨ましそうにしてたから、俺の魔力が回復した後にくるみにもヒールをかけた。
特に変化はなかったと思うけど、こういうのはちゃんと平等にやらないとね。
生理痛とかにも効果あるらしいから、ミウや永遠がちょっと具合悪いというときにはよく使っているし、何よりも魔法の練習にもなる。
俺も寝違えたりしたときに使ったりするから、本当に重宝しているんだよね。
「それよりもこむぎ? こむぎはそんなに楽しみにしてたの?」
「うん。お兄といると楽しい。そして、何よりも楽」
「そう? 俺もこむぎといると楽しいよ? もちろん、くるみといるのもね?」
「お兄――」
「お兄様――」
くるみとこむぎが頬を体にすり寄せてくる。
ああ、これ好き。
それから、お風呂から上がったミウが来るまで他愛のない雑談して過ごしてた。
俺たちの姿を見たミウの目のハイライトが消えてたけど。
ちょっと気になったので、その夜はちょっとミウの部屋に夜這いしてご奉仕してみたら、すぐに機嫌を直してくれた。
似たようなことは昨日もしてたけど。
チョロいと言ってはいけない。
あとで永遠にもやっておこう。
彼女も俺の大事な婚約者だからね。
なんだかんだで期待しているようなところもあるし、意外と受け身なんだよね、永遠は。




