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異世界転生したら実妹ルートに突入しました~ただし、ハーレムは強制のようです~  作者: 朝霧雪乃


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第77話・中間試験


 それからは特に問題は起きず、試験開始となった。

 ひんやりとした洞窟のようなダンジョンを進む。


「兄さん。意外と強いんですね?」

「そうか?」


 露払いのように、出てくる雑魚を切り捨てながら進む。

 ゴブリンやコボルドが中心で、偶にオークが出てくるぐらい。

 ふっふっふ、魔法を覚え、装備を更新した俺の前では敵ではない。

 途中でコボルドが装備してた木の盾があったから、それを回収して左腕に装備しているけど。

 ぼろいが、やっぱり盾があるのとないのとでは安心感が違うね。


「ん?」


 ちょっと高い段差があった。

 念のため、奥を見るが特に魔物などはいない。

 待ち伏せ(アンブッシュ)はないかな?

 先に乗り越えて、永遠《とわ》に向かって手を差し伸べる。

 ちらっと永遠の後ろを見るも先ほど切り伏せた魔物の死骸が転がっているだけだった。

 動いている魔物はいない。


「兄さん?」

「ん? どうした?」

「いえ……」


 俺の手を取ったので軽く永遠をゆっくりと引き寄せた。

 周囲を見るも静かなまま。


「大丈夫か?」

「こ、このくらいの段差なら平気ですよ。兄さんは過保護ですね……」

「そうか?」

「あと。試験中なので誰かに見られていたり聞かれている可能性もあります。気を付けてください」

「これくらい大丈夫だろう? それとも物陰で抱きしめてキスでもするか?」


 左右を見渡しながら永遠に冗談を飛ばす。

 個人的にはそのまま一線を超えたい。


(うーん。ちょっと警戒しすぎたか?)


 教室でのこともあったので普段よりも意識しているが、事件らしい事件が起きる気配がない。

 

「まったく兄さんはこれですから困ります。さあ、進みますよ。この先に部屋に課題があります」

「了解」


 永遠と共に目的地である小部屋へと入った。



――



「アァ――」


 声を上げながら部屋の中を1体の魔物がうろうろしていた。

 まるで映画やゲームに出てくるゾンビのよう。

 あれが【天使】か。

 背中から白い翼を生やしたマネキンにしか見えない。 


「アイスジャベリンっ――」


 事前の打ち合わせの通り永遠《とわ》が先に魔法を放つ。

 名称の通り、天使に向かって氷で出来た槍が飛んでいく。

 いいなー。

 何でもいいから俺も攻撃魔法を使えるようになりたい。


「アアアッ――」


 魔法が直撃すると、その場に天使が倒れた。

 そして、動かなくなった。

 ゆっくりと天使に近づくが反応はない。

 試しに天使の腹を切っ先でつんつんと突《つつ》いてみる。


(反応がない。ただのしかばねのようだ――)


 動きそうな気配もない。

 死んだかな?


「兄さん。何をしているのですか?」

「倒したかどうかの確認?」

「私の魔法が直撃したのですよ。確実に死んでますって……」

「そうなの?」

「はい」


 永遠強すぎない?

 それとも魔法が強いのかな?


「兄さんのおかげでここまで魔力を温存できたので、まだ余裕があります」

「そう? あ、水飲む? リュックにあるけど」

「いえ、大丈夫です」


 数分たつと天使の体から煙が出てきた。

 ダンジョンへの吸収が始まったのだろう。

 しばらくして、最初から何もなかったかのように消えるも、その場には青い石が落ちてた。

 ドロップアイテムだ。

 それを拾う。

 聞いた話ではこの【天使の涙】が必要らしい。


「ほー。これを持ち帰ればいいんだな?」


 【天使の涙】をかざしてみる。

 サファイアのような宝石だ。

 ただ、透明度があまりないから、品質としては最低だ。

 これを売ったとしても数万円にしかならないらしい。


「はい。でも1回で出るなんて運がいいです」

「そうなの?」

「はい。酷いと10周ぐらいしないと出てこないので」

「え、10周?」


 10周程度ならドロップ率高くない?

 前世でやってたオンラインゲームだと、普通に100周とか200周してようやくドロップするかしないかだったはず。

 それと比べると十分楽そうに見える。


「兄さん。ダンジョンの中はゲームではありませんよ? 10周でも十分リスクです」


 顔に出てたのか永遠が指摘してきた。


「あー。そうだね」


 ゲームと現実は違うからね。

 疲労とかトイレ休憩とかもあるし、暑いと喉も渇く。

 何もないところでつまずくことだってある。

 永遠に【天使の涙】を渡す。

 あとは帰るだけの楽な仕事だ。

 問題があるとすれば、ここはボス部屋じゃないから【ポータル】という転移門が設置されてないこと。

 だから、面倒臭いが歩いて戻るしかない。

 ダンジョンから脱出するためのマジックアイテムもあるがお金がかかるのと、今は永遠の試験中だからそれは使えない。


「ん?」

「兄さん――」


 部屋から出ると、永遠が声を上げた。

 彼女を庇うように一歩前に出る。

 土で作られたような無数の人形。

 それがゆっくりとこちらに向けて歩いてくるのが見えた。

 いわゆるゴーレムというやつ。

 初めて見るけど、その姿はネットで見たから知ってる。


「敵か?」

「わかりません。そもそもここにゴーレムが出るなんて聞いたことがありません。それにこの数もおかしいです。誰かが意図的にマジックアイテムを使ったとしか――」

「そうか。なら、これも試験の一環か?」

「あっ――で、でも。い、いえ、わかりません――」


 珍しく永遠が取り乱していた。


「そうか。なら、ゴーレムの倒し方はわかるか?」


 携帯があればそれでわかるのだが、今回は試験中。

 そのため、持ち込みが禁止されていた。

 まあ、ダンジョン内に持ち込んだとしても電波が届かなければ意味がないけど。

 意図的にしか考えられないということは、これが試験の一部という可能性もあるわけで。

 事前に渡されてた緊急連絡用のマジックアイテムを使うかちょっと迷う。


「え?」

「ゴーレムの倒し方だ、永遠」


 迫りくるゴーレムを見ながら永遠へと声をかける。


「は、はい。基本は魔法攻撃です。普通の魔物と同じく胸の魔石を破壊すれば倒せますが、ゴーレムは物理耐性が高いので、今の兄さんとは相性が悪いので厳しいです」

「そうか。わかった」


 脇差しはもちろんだが、拳銃も駄目そう。

 重機関銃クラスなら余裕で倒せそうだけど。


「ですので兄さん。兄さんは私を守ってください。私が魔法で対応します」

「了解」


 脇差しを抜いて構える。

 木の盾しかないけど、数発程度なら耐えられるはずだ。




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