↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生したら実妹ルートに突入しました~ただし、ハーレムは強制のようです~  作者: 朝霧雪乃


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

69/88

第69話・初期装備はそろそろ限界


「あのー。私、前にも言いましたよね?」


 探索者協会の受付担当者さんからお叱りを受ける。

 茶髪で三つ編みが特徴の若い女性。

 彼女が担当のときを狙って来ているわけではないのだが、なんか顔と名前を覚えられてしまったのだ。


「ですから鎧は壊していませんよ?」

「だからって剣を駄目にしたら駄目でしょ?」


 受付担当者さんがブロードソードを指差す。

 「西洋の剣」と言ったらみんなが思い浮かべるような標準的なデザインのもの。

 根元から折れているというわけではないが、それを鑑定した彼女の話では「折れる一歩手前だから剣が駄目になっている」とのこと。

 ダンジョンに潜っている際に、不意に【身体強化魔法】を覚えた気がしたんだよね。

 だから、魔法でオークたちと戦ったのだが、その際に盾の代わりに剣で攻撃を受けていたのが原因だろう。

 10階層までは集団で出てくるよりも単独で出てくる魔物が多かった。

 でも、11階層から群れというか1匹のオークが数匹のゴブリンを率いたパーティー単位で出てくるようになったのだ。

 しかも連携して戦うようにもなってちょっと苦戦した。

 あとは前衛がいないゴブリンアーチャーやゴブリンマジシャンなどの遠距離戦特化の集団。

 矢や魔法を絶えず撃ってくることが厄介だったが、身体強化で一気に距離を詰めて戦えば特に問題なかった。

 問題があったのは、途中で出てきたハーピー(ハルピュイア)。

 単体であったにもかかわらず大苦戦した。

 ダメージがないが突風のような風魔法で態勢を崩されたり、魔力を鳴き声に乗せて弱めのバフやデバフを使ってきて、身体強化に頼った近接戦では手も足も出なかったのだ。

 最終的には、投げ槍のように剣をぶん投げて串刺しにして倒したけど。

 もしも剣が当たらなかったら脱兎の如く逃げ出していただろう。

 まあ、どちらにせよ普通に死にかけたのは事実だ。

 弓や銃のような飛び道具か、遠距離攻撃ができる魔法が必須で、このことから11階層の攻略は断念。

 途中で撤退を余儀なくされた。

 この世界のハーピーは鳥を人型っぽくした鳥人《ちょうじん》型の魔物だった。

 このほかにも、アルラウネの上半身は、人間の女性っぽく見えるが実は植物の茎と葉っぱで出来ているそうで、アラクネの上半身は、カマキリの顔と前足がクモのものに変わっているという感じだ。

 人魚に関しては、魚を人型にした半魚人のような姿となっているし。

 ロマンのかけらもねぇ。

 撤退してから色々と調べてみたが、どうやらこの世界には人型の魔物は存在するものの、外見や体の構造まで人間と見分けがつかないような魔物は存在しないらしい。

 いわゆる「モンスター娘」がいないのだ。

 密かに期待していたんだけど、現実ってそんなもんだよね。

 これで心置きなく魔物を狩ることができるが、なんかモチベーションが一気に下がってしまった。

 逆にかわいいとそれはそれで困るけど。

 ちなみに、魔物の名称は自由なので、天使や悪魔、神様の名前が付いた魔物はいるが、どれも一目で魔物だとわかるものばかり。


「あのー。聞いてますぅ?」

「あー、はい。戦ってたときのことを思い出していたのですが、やっぱり戦い方が悪かったと思います」

「だから戦い方の問題じゃなくてですね? そもそも“【初期装備】で10階以降は無理があるので装備を整えてください”って言っているのです。11階に到達できるのでしたら、途中のフロアを周回してお金を集めるなんてこともできますよね? お金の事情があるのかもしれませんが、あなたは先を急ぎ過ぎるのです。いつか死にますよ?」

「は、はい。す、すみません」


 薄々自覚はしていたが、忠告を受けた以上は、無茶な行動はなるべく控えるようにしよう。


「でしたら、まずは安全な階層でお金を稼いで装備を整えなさい。いいですね? これ以上、初期装備を壊したらあなたにペナルティを科しますよ? その初期装備だって学校の備品なんですからね? 厳密には探索者協会のものではありませんが、探索者協会も運営にかかわっている探索者高校の備品である以上、何度も破損させれば、指導の対象となりますっ――」

「すみません」


 ちょっと怒り気味の受付担当者さんから指導を受ける。

 昔は「受付嬢」とも呼ばれていたけど、今の時代は性別を限定しない中立的な表現である「受付担当者」というように名称が変わったらしい。

 探索者協会は男性職員が受付を担当することも多かったとかで、特に問題はなかった。

 まあ、探索者の間では、異性の受付担当者とそういう関係になる人も少なからずいる。

 俺もそういうのに憧れがないというわけではない。

 ただ、今はミウや永遠《とわ》がいるからそれでいいかな。

 自然と頬が緩む。


「ちょっとなにヘラヘラ笑っているんですか? もしかして私を馬鹿にしてますか?」

「い、いえ。そんなことは。ただ、ダンジョン内で会った先輩にも似たようなことを言われていたのでつい……」


 とっさに先輩の名前を出す。

 さっきはミウと永遠の顔を思い出して思わずにやけてしまった。

 ちなみに、先輩というのは前にダンジョンで一緒になった青い髪をポニテにした先輩。

 結局、名前聞きそびれちゃったな。

 先生に聞けばわかると思うけど、そこまでして聞く必要はないだろう。


「だったら、どうしてそんな装備で進んでいるんですか?」


 棘のある口調で話を返してくる受付担当者さん。

 やっぱり怒らせてしまったみたい。


「現金一括で装備を買いたかったので、初期装備で行けるところまで行ってから買い揃えようと……」

「あのですね。初期装備での攻略を想定しているのは5階までなんですよ? だから初期装備が使えるのは基本的に1年生の間だけなんです。それを2年生が借りて潰していたなんてことになったら、問題になりますよね? 2年生になってもわからないんですか?」

「え? いえ、自分、まだ1年生なんですけど……」

「はいはい。入学したての1年生が11階層まで行けるわけがないじゃないですか? それとも単位が足りなくて留年したんですか? ほら、後がつかえているから行った行った」

「あ、はい――」


 受付担当者さんに「しっし」と言わんばかりにあしらわれて探索者協会を後にする。

 なんか普通に2年生と勘違いされたけど、ちょっとペースが速かったのだろうか?

 俺の場合はちょっとしたアクシデントで2年生と一緒に5階層まで進んだんだけど。

 この前に試しにソロで5階層にまで行ったときは、先輩たちと進んだ経験から楽(・)に(・)突破できてしまったんだよね。

 途中に何があるのか大体わかってたし。

 その分、経験のない5階層から10階層までは死にかけながら進むことになって、11階層に至っては途中で限界が来て撤退を余儀なくされた。

 だから、クラスメイトたちがどこで苦戦しているのか正直疑問だ。

 まあいいや。

 お金が稼げるんならそれでいい。

 今日は途中で撤退してきたからいつもよりも早いが、だからと言ってやることもなく。

 自宅に戻ってシャワーを浴びて新しい服に着替えてから、ミウの迎えに行く。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。