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異世界転生したら実妹ルートに突入しました~ただし、ハーレムは強制のようです~  作者: 朝霧雪乃


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第50話・ダンジョンは金の生る木


「つまらん。これならさっきのモンスターハウスの方がまだ歯ごたえがあったぞ」


 ホブゴブリンの首を切り落としたポニテの先輩がつぶやく。

 フロアボスはゴブリンとホブゴブリンだった。

 ゴブリンたちは棍棒と腰巻ぐらいだが、ホブゴブリンは鎧とメイスというしっかりめの装備。

 ゲームのムービーシーンのように、いかにも強敵ですと言わんばかりに出て来たのに。

 ポニテ先輩には10秒も持たなかった。

 というかほぼ一撃。

 バフやデバフはもちろん、魔法の類も使っていない。

 先ほどの先輩たちの戦いぶりを見ていたのでわかっているけど、そもそも2年生は10階層付近で戦っているのだ。

 そんな人たちが5階層で戦うと言ったら余裕だろう。

 ポニテ先輩に聞いた話だと、今日はクラス単位での集団戦を学ぶためにダンジョンに入っているため、5階層までで終了らしい。

 それから奥の部屋に行き、宝箱を発見するも中身はホブゴブリンが使っていたメイスだった。

 もちろん、ホブゴブリンの死骸は回収しているので、ホブゴブリンが装備していた鎧やメイスなども回収している。

 ゴブリンは価値がないのでその場で破棄。

 ポータルが起動しているのを確認した後、まだ時間があったため、クラス委員長を含めての話し合いとなった。


「よし。一旦部屋を出よう。それと次はお前が単独で戦ってみろ。いざとなったら手を貸す」


 ポニテ先輩が俺の肩にポンッと手を置いた。


「へ? 自分ですか?」


 なんか無茶振りされた。 


「ほかに戦いたいやつはいるか?」


 そう言ってポニテ先輩が周囲を見るが特に反応はなかった。


「なら決まりだな。お前が倒したレッドキャップはゴブリン系の中でも上位種。中位種であるホブゴブリンぐらい余裕で倒せるだろう」

「そうですか?」

「さすがに最上位種のゴブリンキングやゴブリンクイーンを相手しろというわけではない。やってみろ」

「わ、わかりました」


 そして、仕切り直しと言わんばかりにボス部屋の外に出て。

 もう一度、ボス部屋に突入。

 先手必勝と言わんばかりに剣を構えて突撃し、まずは先に向かってきたゴブリン2体をサクッと切り捨てた。

 ホブゴブリンに近づく。


「ゴブッ――」


 メイスを振るホブゴブリン。

 ギリギリまで引き付けてから体をのけぞらせて避ける。

 大丈夫だ。

 これなら行けそう。

 その動きをよく見る。

 ホブゴブリンが腕を振り上げた。

 今だっ。


「はっ――」


 一気に踏み込んで喉元を狙って剣を突き出す。


「あっ――」

「フゴッ――」


 微妙に距離が足りず手元が狂って顔面に当たった。

 ホブゴブリンの顔が裂け、仰け反るように倒れる。

 すかさず駆け寄り、ホブゴブリンの首に剣を突き刺してとどめ。

 こんなもんかな?

 それから先輩たちのところに戻って「倒しました」と報告する。


「……()()()だな」


 黙ってたポニテ先輩が口を開いた。

 評価は微妙だった。

 ちらっとクラス委員長やポーターさんたちも見るもなんか微妙そうな顔。

 あれ?

 そんなに悪かったかな?

 ()()()()戦えた気がするんだけど。


「及第点ですか?」

「ああ。それでお前の出席番号は何番なんだ? クラスはEなんだろ?」

「はい。40番です」

「なるほど、学年最下位か。それなら仕方ないか……」


 ポニテ先輩が納得するようにそう言うと周囲の人もうなずいた。

 どうやら、ほかの人たちは俺よりもうまく戦えるようだ。

 もしかしたら、へっぴり腰で戦うクラスメイトたちと同じようになっていたのかもしれない。

 自分ではそういう感じはしていないけど、先輩たちの目からはそう見えたのかもしれない。

 もっと精進せねば。


「それで、だ。お前は最初にホブゴブリンの動きを見ようとしてメイスを振らせただろう? あれは余計だ。私ならその前に首をはねている」

「あ、はい」


 確かにそうだった。


「それと、お前はホブゴブリンの喉元を狙おうとしただろ? 手元が狂って顔に当ててたが、あれは踏み込みが浅いのが悪い。あともう一歩深く踏み込んでいたら重心が安定して手元が狂わなかったはずだ。狙いは良かったが実戦経験不足だな。それに足さばきも剣術の基礎もなっていない。帰還するまで少し時間があるから、私が直接指導してやろう」

「は、はい。お願いします」


 それからポニテ先輩と打ち合ってその指導を受けていると、クラス委員長から「そろそろ時間だ」と声をかけられた。

 みんなでポータルを通ってダンジョンの入り口に戻る。

 入口では、女性の先生が待機していた。

 先輩たちの担任らしく、事情を説明してから解散となったが。

 俺に関しては「次から気を付けなさい」で済んだけど、先輩たちは「途中で気づけたからいいものの、用心が足りないわよ」と注意を受けていた。

 ちなみに、報酬は俺にも平等に分配されるみたいで、手続きなどの問題から明日以降の振り込みになるらしい。



――



 起きた後、携帯スマホのメールを確認していたら、探索者協会から「振り込みが完了しました」というメールが届いていた。

 ノートパソコンから探索者協会にアクセスし、自分の口座を確認する。


(は?)


 口座には13万円もの大金が振り込まれていた。

 思わず二度見した。

 言葉が出てこない。

 途中から合流したのに13万?

 1万3000円だったらわかるけど、桁間違えてない?

 念のため、登校した後に先輩たちの担任に確認したものの、その金額で間違いはなかった。

 ついでに明細書も渡されたので確認する。

 探索者協会への手数料やパーティーメンバー扱いとなってた先輩たちへの分配で色々と引かれていたけど。


(ふむ)


 ローブ姿のゴブリンはゴブリンマジシャンだったらしい。

 倒した覚えがないのにその名前が記載されていた。

 携帯スマホの画面をタップしてレッドキャップの相場を調べてみるが、売却できる装備込みで現在の相場は1匹5万円ぐらい。

 意外と安い。

 どうやら、ゴブリン系だから魔石の価値が元から低いことに加え、体も使い道がないそうだ。

 これがドラゴンだったら億単位になるそうだ。

 すごい。

 夢がある。

 俺が戦ったときはそんなに強くはなかった気がするけど。

 ホブゴブリンやゴブリンソルジャーなどの中位種よりも上であるため、並みの探索者が真正面から戦うとなると苦戦する相手らしい。

 たぶん、あの旗を持った先輩のバフとデバフが強力だったから倒せたのだろう。

 共に戦った先輩たちは2年A組。

 2年生の中でもトップが集まったエリート集団だ。

 ちなみに、俺が単独で倒したあのホブゴブリンは、先輩たちとパーティーを組んでいたという都合から、単独ではなくパーティーでの討伐となっていた。

 まあ、装備品とかを回収してもらったからね。

 文句はない。

 それよりもだ。


(もしかしてダンジョンって思ったよりも稼げる?)


 明細書を眺めながらそんなことを思った。



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