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異世界転生したら実妹ルートに突入しました~ただし、ハーレムは強制のようです~  作者: 朝霧雪乃


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第45話・ダンジョンデビュー


 高校に進学してから1か月たった。

 今日はイベントがあるというか、初めてのダンジョンに入る日だ。

 制服から戦闘服であるシャツジャケットとカーゴパンツに着替えてダンジョンの前に集合する。

 白いサイドラインのおかげでジャージっぽいけど、このラインのおかげで「探索者高校の生徒」というのがわかるそう。

 戦闘用の装備に関しては自前が基本。

 なので、腕に自信のある人は私服姿だったり、制服姿のままという人もいる。

 俺の場合は特にこだわりがなかったから、「ダンジョン探索時の服装例」として学校側が販売していた戦闘服を買って着ているけど。

 色や柄が違うものの、軍隊で使われているものと同じ素材を使っているらしい。


「よーし、全員いるな。これから武器と防具を配るから必要なら取りに来いよー」


 筋肉質な担任が声をかけながら、お金のない生徒のために革の鎧(レザーアーマー)や刀剣、杖などを貸し出していた。

 刀には人が殺到してすぐに無くなってしまったけど。

 仕方ないので残ったブロードソードと呼ばれる標準的な剣を選び、革の鎧を装着する。


(おお……)


 まるでラノベやRPGゲームに出てくる冒険者にでもなったような気分だ。

 ふと、袴っぽい服装で槍を持ったポニテのクラスメイトと目が合うが、「そんな装備で大丈夫?」と言わんばかりの視線を向けられた。

 気にしないでおこう。

 とりあえず剣を抜いて確認する。

 鎧と同じように無数の細かい傷があるものの、刃こぼれやサビなどはなかった。

 試しに親指の爪に剣の刃を当ててみると、つるっと刃が滑った。

 やっぱり切れ味には期待できないみたいだね。

 西洋剣は耐久性を重視したものが多いと聞いたが事実のようだ。

 そして、全員の装備点検が終わった後、整列してダンジョンへと向かう。



――



 ダンジョンの中はどこかひんやりとしていた。

 1階層は整備されているのか天井には照明器具や案内板などが設置されており、松明たいまつやランタンなどを使う必要がなかった。

 携帯電話スマホを確認するが、今のところはちゃんと電波も届いている。

 イザナミ様から聞いた話では、【ダンジョン】は、神様が自分たちの信者に対して試練や課題を与える場所で、信仰心を芽生えさせたり、人としての成長を促す神聖な場所だったそう。

 また、この際の試験などのことを【神の試練】と呼ぶとか。

 ただ、目先の利益に目がくらんだ一部の神様がそれをビジネス化してしまい、今の【探索者】が生まれたらしい。

 そして、一部の神様たちはダンジョンに入る探索者を使って賭け事をしたり、TRPGのように遊んでいるそうだ。

 神に遊ばれる側としては迷惑極まりないが、この世界に介入するようなことがない限りは、神様同士であっても手が出せないので基本は放置とのこと。

 まあ、そのささやかな報酬としてスキルやお宝などをくれるので、お互いにメリットがあると言えるけど。


「ゴブゥッ‼」


 棍棒を持ったゴブリンが俺たちの前に立ちふさがった。

 遠目なのでちょっとわかりづらいけど、緑色の肌に尖った耳とお腹が出た子供のような姿の魔物だった。

 醜いと言われているが実際に目にすると、不思議と不快な気分になる。

 ポニテの子が前に出たと思ったら、持ってた槍で瞬時にゴブリンの頭を貫いていた。

 カランカランっと棍棒が床に転がる音が響く。


「ざっこっ――」


 ケラケラと笑いながらポニテの子が槍を引き抜いた。

 そんな彼女の姿に思わずひいてしまったのは俺だけではないと思う。

 その場に打ち捨てられたゴブリンの死骸から赤い血が流れてくる。

 魔物でも血の色は人と同じようだ。

 気持ち悪い。


「うっぷ――」

「おえっ――」

「うぉっ。きったねぇぞっ、お前ら――」


 それを見て数人がその場で吐いた。

 モザイクをかけるほどではないが、これはちょっと辛いかもしれない。

 でも、これに慣れないと探索者なんて務まらないので、なんとか吐き気を我慢する。

 料理人として動物や魚などをさばいた経験はあるものの、と畜の経験はあまりないというか、個人的に苦手だし、ちょっと専門外なんだよね。

 それからは彼女を先頭にする形で進むも、出てきた魔物の9割ぐらいを片付けてしまった。

 偶に彼女が仕留め損ねたやつが出てくるのだが、待ってましたと言わんばかりに好戦的なクラスメイトたちが袋叩きにする。

 俺は最後尾であったこともあり、袋叩きには参加せず、ずっと後方を警戒していたけど。

 階層が浅いためか背後から魔物が出てくるということはなかった。


(たしか魔物が出てくるポイントは決められているんだっけ?)


 イザナミ様が言っていたが、「魔物が沸くポイントが決まっているから、転移魔法を使わない限りは変なところから出てくることはない」らしい。

 だから、人為的もしくは偶発的な事故がない限りは安全なのだろう。

 テイマーが連れ出すこと以外をのぞけば、魔物が自ら進んでダンジョンの外に出るということもないそうだし。



――



 パワーレベリングのようにポニテの子を先頭に進み、地下2階へと進む階段に出たところで、今日の授業は終わることになった。

 担任の話では、今日は全員が初日であることから、そこまでだそう。

 でも、明日からは自由に出入りしていいそうだ。

 パーティーを組んで入ってもいいらしい。


「ただし、ダンジョンに入りたいやつは必ず申請書を出すんだぞー。申請書を出さないやつは通常の欠席扱いだからなー」

「先生、その申請書はどこに提出するんですか? あとその申請書はどこでもらえますか?」

「ダンジョンに入る前に案内した探索者協会だ。そこの受付担当者に提出して手続きするんだぞー。学校の職員室じゃないからなー」


 担任から説明を受けながらダンジョンの入り口へと戻る。

 厳密に言えば、申請書を出してもその許可が下りないと駄目らしいけど。

 停学とかになってない限りは問題ないそうだ。

 ダンジョンに入っている間は、学校の授業や試験などは免除。

 ダンジョン攻略が通常授業の出席と同等になり、学校が出したダンジョン内での課題がその試験の代わりとなるそうだ。

 それでも通常の授業や試験などがあるのは、ダンジョン内での出来事が原因で何らかのトラウマを抱えてしまい、ダンジョンに入れなくなってしまった

人を卒業させるための救済措置らしい。

 このおかげで、ダンジョンに入れなくなても退学したり転校するというのが少ないとか。

 もちろん、ダンジョン攻略をしないという場合は、通常の授業や試験などに出席する必要があるのだそうだけど。 


(探索者として稼げると聞いたから進学したけど、これはこれで厳しいかもしれないなぁ……)


 ダンジョンに入って肌身で感じたが、これなら普通にアルバイトでもしていた方が稼げると思うし、何よりも安全だ。

 ミウのことを考えるとそれでもいいのかもしれない。




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