第35話・お友達
「それでお兄ちゃん。学校でお友達はできた?」
「うーん。まだかな?」
ミウを膝枕していると、ミウからそんなことを聞かれた。
高校に入学してまだ1週間も過ぎていないのにそう簡単に友達ができるわけがない。
「ミウ、お兄ちゃんが学校で孤立していないか心配です」
「そうか? まあ、俺は昔から友達を作るのが苦手だからな。陰キャだから仕方ない。あ、陰キャってわかる?」
「うん、わかるよ。それでお兄ちゃんは友達がいないの?」
「そうだな。俺にはミウがいればそれでいいから」
俺がそう言うとミウの頬がどこか赤くなったような気がした。
「それじゃあ駄目だよ、お兄ちゃん。せっかくラノベに出てきそうな高校に入学したんだから、ラブコメとかバトルもののような展開にならないの?」
「うーん。特にないかな? そもそも俺のような陰キャモブがそんなことできるわけないだろ? チート能力もないし。現実を見ろ現実を……」
「ラノベのキャラを地で行くお兄ちゃんに言われたくないよ、それ……」
「そう? ラノベのキャラなんて初めて言われたんだけど。てか、俺がラノベのキャラなら、ほかの人たちはもっとラノベのキャラしてるだろ?」
日本人の中でも少数派ということは理解しているがラノベのキャラを地で行く存在ではないだろう。
そもそもラノベの主人公のように“普通”ではないからな。
生粋の日本人ではあるが、生まれた環境から違うし、普通に実の妹と恋仲になれるようなやつだ。
そんなやつがラノベの主人公になれるなんてわけがない。
エロゲや同人だったらワンチャンあるかもしれないけど。
「だから、お兄ちゃんは自分のことを過小評価しすぎなの。お料理もお掃除もお洗濯もできるじゃん? お父さんなんかミウとお母さんが一生懸命家事をしているときになーんにもしないでソファーに座って野球ばっかり見てたんだからね?」
かわいそうになるぐらい父親の評価が低い。
でも、これが女性の視点での評価なのだろう。
前世の父親も家事をしなかったが、母親がそれにキレて離婚の話を切り出したら渋々という形でやり始めた。
共働きだったので、母親に負担がかかりやすかったというのは見ててわかったけど。
今世でも共働きらしい。
やっぱり父親の給与だけでは生活は難しいということなのだろう。
前世の母親は「自分たちが稼いだお金で食わせているのだから、子供が家事を手伝うのが当たり前」と言ってたし。
それで家事を手伝わされて覚えた。
最大の原因は、俺が勉強もスポーツもできなかったということであるけど。
だから、ミウのように評価してくれるなんてことはなかったのだ。
ちょっと嬉しい。
結婚しよう。
あれ、なんか俺チョロくない?
「それよりもです。このままだったら、お兄ちゃんが好きなチートものやハーレムものにはならないよ?」
「俺の好きなって。ミウ、お前俺のPC見たな?」
「うん。だってパソコンをそのまんまにしてお風呂に行くお兄ちゃんが悪いんだよ?」
なるほどその間に見たのか。
完全に油断してた。
漫画やラノベに関しては、前世との誤差を確認するために買ったものだ。
保管場所の都合で電子書籍版にしたけど。
まあ、その内容に関しては前世とほぼ同じように感じたので、何がどう違っているのかよくわからなかった。
「あと、お兄ちゃん。エッチなサイトに行くのは駄目だと思うよ?」
「せ、精神は大人だからセーフだと思うの」
どうやら履歴も見られていたのだろう。
そこは前世の年齢が基準だからセーフという、ダブルスタンダードで見てた。
前世でも未成年のころからそういうサイトは見てたというか、普通にエロゲとか買ってたし。
もちろん、タバコは前世から一切吸ってないし、お酒もほとんど飲まなかった。
お酒に関しては、偶に季節限定の商品を買ったり、もらったものなら飲んでたけど。
ジュースは今もよく飲んでいるけどね。
「お兄ちゃん、それ言い訳になってないよ? 普通にいもーとものも混じってたよね? 同人?って書いてあったけど……」
「ま、まあいいだろ。男は定期的に処理が必要なんだから。それよりも俺に友達がいないのは仕方ないの」
これ以上は藪蛇になりかねないので、無理矢理だけど話題を変えておく。
「ふーん。じゃあ、仕方ないね。お兄ちゃんがお友達を作れるようにミウも考えるね?」
「それは大丈夫だ。ミウがいれば寂しくないからへーきへーき」
「ほんとぉ?」
「だから急にいなくなったりしないでね?」
「それはミウのセリフだよ。お兄ちゃん」




