第17話・妹をデートに誘おう
異世界転生して数週間が過ぎた。
この間に、現世の両親が死んでいることを聞かされたり、退院した翌日の朝に目の前で妹が倒れるなどの色々なことがあったが、概ね平和に過ごしている。
本来ならばあり得ないことだろうけど、15年もの寝たきり状態から日常生活に復帰できた。
「前例の無いケース」として学会で発表されたそうだけど、一躍時の人になるなんてこともない。
いたって平穏な生活だ。
また、この世界には神様以外にも魔法が存在するのだが、日常生活においては前世とほぼ変わらない。
科学技術が中心だ。
照明も発光ダイオードが主流だし、トイレやお風呂にも配管があって上下水道と繋がっている。
むしろ、魔法がある世界なのに、魔法が制限または禁止されているところが多いという印象だ。
「火気厳禁(火魔法を含む)」と書かれたプレートがドアにつけられていたりする。
ちなみに、人差し指の先から火が出ているシルエットに禁止マークが重ねて描かれているものは魔法禁止を示す看板らしい。
「ん?」
前世にもあった大型ショッピングセンター。
その一角にあったパンフレットスタンドにクラゲの写真がプリントされた水族館の案内が置かれていた。
なんとなく興味が引かれたので手に取ってめくってみる。
(クラゲ水槽? へー……)
どうやらクラゲの展示を行うために改装オープンしたところらしい。
ビルのワンフロアに併設されているようで、水族館としてはそこまで大きくはないようだ。
駐車場もないみたい。
公共交通機関を使うしかないようだが、水族館から徒歩1分以内のところにバス停があるみたいなので、アクセス自体は便利らしい。
(んー。ミウと一緒に行ったら楽しいのかな?)
なんとなくミウのはにかむ顔が浮かぶ。
俺が意識を取り戻すまではどうだったかはわからない。
でも、俺と一緒に暮らすようになってからは、休みの日に彼女がどこかに遊びに行くということをしていない。
本人から直接聞いた話だが、やりたい部活もなかったことに加えて、塾に通うかでも悩んでいたため、部活や生徒会などには入らなかったそうだ。
(なら、気分転換も兼ねてデートしてみるというのも手か)
実の妹ではあるが、恋愛感情を持つ相手とのお出かけならデートで間違いないはずだ。
何よりも妹とデートがしたい。
なんならホテルに連れ込んでそのまま一線を越えたい。
(よし。家に帰ったら調べてみるか……)
土日は基本家にいるみたいだから、土曜日がいいかな?
日曜日だと混みそうだし。
それも営業の営業時間に到着するように行って、ゆっくりと見て回るというのも手だろう。
お昼はどこかのカフェにでも寄ろう。
それから公園があれば、公園でちょっと一服して家に帰る。
うん、このプランで行こう。
時間は余裕をもって行動すればいいから、スケジュールはびっしりにしない。
買い出しを済ませて、自宅に戻った後に自分の部屋で色々と計画を立てる。
(あー、そうか。公園デートだと天候とか考えないといけないのか……)
パソコンの前でキーボードを叩きながらAIに相談してみたけど、そのことを指摘されて初めて気づいた。
念のため相談して良かった。
あとはデートの際の服装である。
正直、ファッションにはあまり興味がないが、さすがにデートとなると俺も気は使うよ?
何よりもミウの隣を歩くのだ。
俺が馬鹿にされるのはいいが、彼女が馬鹿にされるのはだけは駄目だろう。
前世の母親もそういうことにはうるさかったし。
色々と調べつつAIと相談して、候補を絞り込む。
あとの細かいことは、お店にいる店員と相談すればいいだろう。
それから、デートにおすすめで値段も手頃という個人経営のカフェを見つけた。
帰りはそこに寄るとしよう。
でも、予約はしない。
ミウの好みの問題もあるだろうし、当日になって予定を変更するかもしれないし。
(あとはどうやってミウをデートに誘うかだが……)
それはなんとかなるだろう。
前世ではコミュ障の陰キャモブを地で行く存在だったため、恋愛経験はなかったものの、デートぐらいなら普通に誘えると思う。
そんなことよりも、天候だ。
それを考慮したものにデートのプランを微調整しないといけない。
公共交通機関を使う以上、バス停とかでの待ち時間が発生するだろうし。
その間に雨が降ってきてずぶ濡れというのは避けたい。
せっかくのデートが台無しだ。
折り畳み傘は忘れずに持って行こう。
もしかしたら相合傘ができるかもしれない。




