第12話・妹と仲良くなりすぎた件・後編
「それでお兄ちゃん。ほかにはないの?」
興味深そうにミウが聞いてくる。
「うん、まだあるよ? 今みたいに素直に甘えてくれるところも好きだね。表情がコロコロ変わるから見てて楽しいし」
「えっ、そうなの?」
ミウが目を大きく見開く。
おかげで表情が読みやすいということまでは言わない。
「うん。ほかにも、ちょっとオタクなところがあるところかな? ラノベとか好きでしょ? だからそれを毛嫌いする人よりは好きかな?」
「そうなんだ」
本音を言えば、コスプレエッチしたいからだけど。
オタクというほどではないと思うが、それなりにラノベは読んでいるようだった。
元々は学校で読書を推奨されていたことで本を読むようになって、その際に仲の良い友達からおすすめされたのがラノベだったそう。
まさか部屋の本棚に悪役令嬢もののラノベが置いてあるなんて思いもしなかったけど。
たぶん前世にもあったんじゃないかな?と思えるようなタイトルだった。
「ほかには、そうだね。家事はできるし、かわいいしで言うことないかな? こうなったらお嫁さんにもらうしかないじゃん?」
「お、お兄ちゃん。それは言いすぎじゃない? それにミウはお兄ちゃんの実の妹なんだよ? “実は義理でした”なんてことはないんだよ?」
「そう? この世界では妹と結婚できるんだから特に関係ないと思うけど? 仮に結婚できなくてもお嫁さんにもらうよ?」
そう言ってミウを抱く腕に軽く力を入れる。
前世の俺だったら、たぶんここまで踏み込んだことは言えなかったと思う。
良くも悪くも異世界転生したからこそ言えることだし、行動にも移せる。
「お、お兄ちゃん。あと、さっきからスキンシップが激しい気がするんだけど……」
「ごめん。嫌だった? “好き”って気持ちを伝えようと頑張ってたんだけど……」
「嫌ってわけじゃないけど、その、ね?」
なんか耳まで赤くなっているので単に恥ずかしいだけだろう。
「じゃあ、これくらいにしておくね?」
「う、うん」
抱きしめてた腕を開いてミウを解放しようとしたのだが、今度はミウが離れなかった。
「ミウ?」
「もう少しこのままがいい」
「ん、わかった。じゃあ、クッキー食べる?」
「食べる」
餌付けするようにクッキーを食べさせるも、クッキーが最後の1枚となってしまった。
「ふふ。どうせなら最後の1枚は口移しでもしようか?」
「お、お兄ちゃん? そ、それは駄目だよ……」
ふと思いついたことを提案してみると、それを想像したのか、また顔を真っ赤にしていた。
「駄目?」
「ど、どうしてもって言うんだら、そのね? ミウも考えるけど……」
「どうしても口移しがしたいなー」
ミウと視線を合わせたまま、冗談交じりに言ってみる。
口移しするということはキスするということで。
「お兄ちゃん。ミウ、覚悟を決めました。く、口移しでくださいっ――」
「お、おう」
冗談で言ったのになんか本気にされてしまった。
ここまで来て「冗談でした」とはさすがに言えないので俺も腹をくくる。
電撃戦のようにぱぱっと済ませてしまおう。
クッキーを口にくわえてからその端を少しかみ砕き、それと一緒にミウの口に押し込む。
「「んっ――」」
恋人同士がよくやることだけど。
実際にやってみるとめっちゃ恥ずかしいわ。
あー、駄目だ。
顔が熱い。
煙でも出てそう。
実の妹相手に何をやっているんだと言われそうだが、相手も乗り気だったし、俺もやってみたかったんだから仕方ないじゃん?
元々は憧れていたというか、恋人相手にこういうことがしたいと思っていたことだけど。
まさか異世界で妹相手にするとは思わなかった。
でも、ミウなら大丈夫だろう。
嫌がっている様子もなかったし。
恥ずかしいが後悔はない。
「しちゃったね。お兄ちゃん」
ミウも顔から煙が出そうなぐらい真っ赤になってた。
「そ、そうだね。ちなみにファーストキスだからね?」
「そ、それを言ったらミウもだよ?」
「ふふ。じゃあ、今日はここまでね? そろそろお風呂の時間だぞ、ミウ?」
「ミウ、心臓が爆発しそうでもう駄目かもしれないです――」
ちょっとキスしただけで下半身がやばいことになっている。
あとで1人になった時に手早く処理するしかない。
「ミウ、聞いているか?」
「んー。まだもうちょっとこうしていたいのに。あ、そうだ。一緒にお風呂入ろ、お兄ちゃん」
「え、一緒に?」
「うん。ほら、お風呂の中とかで続きとか……」
それは抱っこするという意味でいいのだろうか?
確実に事故りそうなんだけど……まあいいか。
もしもそうなったらそうなったでいいや。
責任を取ればいいからへーきへーき。
「じゃ、お風呂行くぞ?」
「うんっ――」
そして、準備をしてからお風呂へと向かった。




