第11話・妹と仲良くなりすぎた件・前編
「お兄ちゃん。お茶――」
ミウを抱っこしながらペットボトルに入った紅茶をゆっくりと飲ませた。
最初はコップで飲ませようとしたのだが、なんかこぼしそうだったので、ペットボトルから直で飲ませる。
まるで赤ちゃんのような感じ。
でも、甘えられるのは嫌いじゃない。
それにまた倒れられるのも困るので、ミウの好きなようにさせておく。
ミウが学校に復帰してからすでに数日過ぎた。
特に何かが起きるということもなく、一緒に家事をこなしたりして平和に過ごせていた。
まあ、ミウの下着を手洗いしていたことを知ったときの彼女は思わず顔を赤くしてたけどね。
パジャマを含めてこっそり借りていることはばれてない様子だった。
もちろん、通学の途中で何かあったら困るので、学校の近くまでの送り迎えは継続しているけど。
「それでさ。今日は学校でねー」
ミウの話に耳を傾けながら、どうしてこうなったのか考える。
原因はたぶん俺。
両親が死んだ精神的なショックから数日ほど寝込んだミウの世話をした結果、回復しても普通に甘えてくるようになってしまったのだ。
「それでさ、お兄ちゃん。今度の授業参観なんだけどね。来なくていいからね?」
「えっ? そこは来てほしいとかじゃないの?」
唐突に話が変わったと思ったら来なくていいと言われてしまった。
授業自体には興味がないものの、ミウの普段の様子には興味があったので残念だ。
「うん。だって恥ずかしいんだもん」
「そ、そっか。じゃあ、仕方ないね」
本人が嫌がっている感じだった。
今回は行かないことにする。
「こっそり見に行くのもなしだよね?」
「駄目。それは我慢できなくなるから駄目。これでもミウはゆーとーせーで通っているんだからね?」
「それもそうか。わかった」
学校では優等生で通っている子が、自宅では、実の兄に赤ちゃんのように甘えていると知ったら普通はひくだろう。
一応、授業参観の日時やその日の予定などを聞いておいたけど。
「クッキー」
「はい」
一口サイズのチョコチップクッキーをつまんでミウの口に運んで食べさせる。
ふふ、なんか餌付けしているみたいで楽しい。
なんとなく、ミウの唇に当たった指を自分の唇に当ててみる。
「お、お兄ちゃん? 何をしているの?」
「間接キス?」
たかが間接キスで頬を赤くするなんてミウも初心だな。
「お兄ちゃん。そういうのは駄目だと思うよ?」
「そうか?」
「うん。なんか中学生みたいだし」
「いや、まだ中学生だろ?」
肉体年齢で言えばまだ中学生である。
俺の場合はあと少しで高校に進学するけど。
「お兄ちゃん。もしかしてミウのこと好きなの? 実の妹なのに?」
「うん。好きだよ? 異性というか、1人の女の子としても」
好きか嫌いかで言われたら当然好きである。
だからストレートにミウに伝えた。
「ふ、ふーん。じゃあ、お兄ちゃんはミウのどこが好きなの?」
ミウと視線が合った。
ちょっと上目遣いに見えてかわいい。
そういうところだよ。
「んー、そうだな。まずは見た目かな? 単に俺が髪の長い女性が好きっていうのもあるけど、黒髪というところもポイント高いかな?」
はぐらかさずに素直に答える。
ネットに書いてあったことであるが、「恥ずかしいから」と言ってこういうのを誤魔化すのが一番良くないらしい。
だからと言ってストレートに伝え過ぎるのも悪いみたいだけど。
ただ、はっきりと言葉にしないと伝わらないことも多いからなぁ。
「そ、そう?」
ミウは返事をしながらもどこか嬉しそうに自分の髪をかきあげていた。
その姿に思わずドキッとする。
「で、でも、ミウ。背は低いし、おっぱいもそんなに大きくないよ?」
ミウと同じように視線をミウの胸に落とす。
確かに控えめだ。
控えめではあるが、完全にないというわけではないんだよな。
「あー、うん。それは小さくてもいいんじゃないか? どちらかと言えば、胸は大きい方が好きなんだけど、小さくてもおっぱいはおっぱいじゃん? それに、小柄だからこうしてすっぽりと抱っこできるし」
「もー。お兄ちゃんのエッチ。それでほかには?」
「そうだね。あとはフィーリングというか、雰囲気や性格が合うと感じたからかな? 俺は陰キャというか、あんまり積極的に行動するタイプじゃないからね。もしかして積極的な方が好きだった? 体育会系というか、俺様についてこいみたいな人とか?」
この際だから聞いてみる。
ミウの雰囲気からはそういう相手が苦手なように感じていたけど。
「あー、それはちょっとね。うん、あんまり好きじゃないかな? だったらお兄ちゃんの方がいいかな?」
「そっか。ありがと。俺もミウが妹で良かったと思うよ?」
ミウの言葉を聞いてどこかほっとする。
これで好みじゃないって言われたら、ミウの好きな性格に合わせるか迷ったけど。
さすがに俺様についてこいというのは無理だと思った。




