ドォォォォォォォン!!!
『第二戦闘形態へ移行』
──ガコン、ガコン、ガコン!!
バルディオンの装甲が次々と展開される。
赤熱した蒸気が地下通路を埋め尽くした。
巨大な背部ユニットが開く。
そこから、無数の砲身がせり上がった。
春が引きつる。
「いや絶対強くなるやつじゃん!!」
リリィが涙目で叫ぶ。
「帰りたいですぅぅ!!」
だが。
バルディオンは止まらない。
胸の巨大コアが激しく脈打つ。
『殲滅モード起動』
赤い光が地下全体を染める。
ミアが青ざめた。
「まずい!! 全員伏せて!!」
次の瞬間。
──ズドドドドドドド!!!
無数の光弾が乱射された。
地下通路が崩壊していく。
春は風を纏って仲間を庇う。
「うおおお!!」
ユナが斬撃で弾き。
レオナが炎壁を展開。
アイリスが黒花結界を張る。
それでも防ぎきれない。
爆発。
崩落。
視界が真っ白になる。
「ぐっ……!」
春は吹き飛ばされた。
地面を転がる。
耳鳴り。
煙。
その奥で。
巨大な赤い瞳だけが光っていた。
『目標生存確認』
『追加殲滅を開始』
春が歯を食いしばる。
「化け物かよ……!」
その時。
ゼルヴァが静かに前へ出た。
黒いコートが揺れる。
赤い瞳が細くなる。
「……少し、本気を出すか」
春がハッとする。
「ゼルヴァ?」
ゼルヴァはゆっくり右手を掲げた。
すると。
空気が変わる。
地下全体が重く沈んだ。
ミアが息を呑む。
「なに……この圧……」
黒い花びらが舞い始める。
しかし。
以前の禍々しい黒ではない。
どこか静かな闇だった。
ゼルヴァの背後に、巨大な黒花の紋章が現れる。
そして。
彼は静かに呟いた。
「《黒花解放》」
──ドクン。
世界が脈打つ。
次の瞬間。
ゼルヴァの身体を、黒い光が包み込んだ。
コートが変化する。
漆黒の鎧。
背中に咲く巨大な黒花。
そして。
右腕へ、黒い紋章剣が形成される。
圧倒的な魔力。
リリィが震える。
「ま、魔王モードですぅぅ……!」
レオナが笑う。
「久々に見たな」
ユナも目を細める。
「本来の姿……」
バルディオンがゼルヴァを分析する。
『脅威指数急上昇』
『危険』
『危険』
『危険』
赤い警告が点滅する。
ゼルヴァは静かに剣を構えた。
「春」
「え?」
「合わせろ」
その瞬間。
春の世界樹剣が共鳴した。
虹色の光。
黒花の闇。
相反するはずの力が、重なっていく。
春は目を見開く。
「これ……!」
ゼルヴァが小さく笑う。
「お前ならできる」
バルディオンが砲撃を開始する。
『排除』
──ズドォォォ!!
だが。
春とゼルヴァは同時に踏み込んだ。
「はぁぁぁぁ!!」
「……っ!」
風と闇。
虹色と黒。
二つの斬撃が交差する。
──ズァァァァァン!!!
空間そのものが裂けた。
砲撃が消し飛ぶ。
バルディオンの巨体へ、巨大な斬撃が走った。
『損傷率──』
機械音声が乱れる。
胸部装甲が砕けた。
内部の巨大コアが露出する。
ミアが叫ぶ。
「コアが出た!!」
春は剣を握る。
ゼルヴァも頷く。
そして。
二人は同時に叫んだ。
「「終わりだぁぁぁ!!」」
世界樹剣と黒花剣が、同時にコアへ突き刺さった。
──ドォォォォォォォン!!!




