シンジ・カナメ: 「7年前」
あの日、一年間の教育きかんを終えて、私はニンムへおくり出された。
出発前には何かのくすりを飲まされ、チュウシャもされた。体があつくなってしんぞうがドキドキして、さいしょはとてもこわかったけど、だんだん自分が強いような、何でもできるような気がしてきた。
ヘッドギアやゴーグルをつけられた時、さいしょは何も見えなくなった。だけど、すぐにツウシンと繋がって、見えるようになった。
ゴーグルをとおして見た世界は白黒で、物の形もおおざっぱにしか分からない。人の顔もうつらない。耳はイヤプラグでふさがれていて、指示だけがきこえてきた。
そうやって動けるようにれんしゅうしてきたから、あまり問題はなかった。
その頃にはエンシュウで…切ったり、刺したりとかもしてたから、これもそういうくんれんだと思って、だまってしたがうしかなかった。えらい人はいつもカメラで見ていて、わたしがわるいことをしたら、家族にキガイを加えると言っていたから。
ゲンバにつく頃には、くすりがきいてたみたいで、何もこわくなくて、全てがどうにかなる、どうにかできるってきもちになってた。
だから、くんれんどおり、ナイフをふるった。
終わった後、テッシュウを告げられたから、私は急いでゲンバからはなれようとした。
その時
なつかしい声がきこえた、ような気がした。
その7年後、わたしは助けてもらえて、家に帰れた。
でも、家にはもうはやととよし君しかいなくて。
ああ、そうなのかなって。もしかしたらって思ったら、ぜんぶぜんぶこわくなっちゃって。
たぶん、この生活は長く続かない。
わたしはいつかきっといなくなる。
でも、どうか二人だけは―




