─母なる大樹─ エピローグ
王国最強のダイガスとティーナが隷属の腕輪の呪を打ち破り──
──命をとして息子を守った日から数年が経っていた。
僕は大森林のひときわ大きな木の前に立って、生い茂る葉の隙間から覗く陽光を仰ぎ見る。
この木は御神木と呼ぶ人もいて、目の前には誰が設置したのか石造りの簡素な祭壇がある。
父さん、母さん。
僕は今日も元気です。まだまだ、ディックたちには敵わないけど、絶対に強くなってみせます。
村の皆も随分とここでの生活に慣れてきました。
ゴードスさんのおかげで今の所、人間に僕らの村が見つかることも無さそうなので、皆安心して暮らしています。
あ、ゴードスさんは少し前から村長って呼ばれるようになりました。
村で一番えらい人なんだって。
この前ようやく、ゴードスさんから子供だけで狩りに行ってもいいって許可が出ました。
嬉しくて、ディックなんて凄くはしゃいじゃって、夕方なのに今すぐ行くぞって言い出して、ミーシャと僕で止めるのは大変でした。
それからは3人で狩りに出かけるのが日課です。
できれば美味しいビッグラビットとかを村に持ち帰りたいんですが、日によっては手ぶらで帰ることもあります。
でも最近は食べられる植物の見分け方も教わったので、獲物が無いときでもお芋とかを見つけて帰るようにしてます。
ディックはお芋があまり好きじゃないみたいですが。
えっと、そんな感じで森での生活はちょっと大変だけど、楽しいです。
でも最近、どこか胸騒ぎを感じることがあります。
あの日も胸騒ぎがしたので、また良くないことが起きるんじゃないかって思うと、やっぱり少し不安です。
でも、きっと大丈夫です。
まだまだ父さんほどじゃないけど、僕だって強くなっています。
それに、ゴードスさんや村のみんなも居るし。
がんばって乗り越えますので、どうか見守っていてください。
そうそう。
来る途中にきれいな花を見つけたので、ここにおいていきます。
「──母さん、喜ぶかな。」
母なる大樹、完結です。
お付き合い頂きありがとうございました。
次回、ゴブリンの長 ゴブロー。




