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将来の夢は魔王になることです!  作者: 月之木ゆう
第四章 獣人国家ユグドラシル
69/75

─母なる大樹─ 世界樹

ごめんなさい予告詐欺でした。

タイトルを新しい仲間→世界樹へと変更しました。

てっぺんが見えないほど大きな、母なる大樹。

それが世界樹である。


大地の深くまで張った根は、豊富な地下水を組み上げ巨大な木の葉っぱの一枚一枚まで新鮮な水を運ぶ。


そして、地上から見上げると幹や枝にはコブのようなものが所々にあるように見える。それはお椀状になっており、その椀の底からは根から組み上げた新鮮な水が絶えず湧き出している。湧き出した水はお椀の縁から溢れ、世界樹の根本の湖へとこぼれ落ちる。


世界樹の恵みにより、周囲の森は豊かに育ち、豊富な食料を皆に与えた。この豊かな水と食料に引き寄せられ、多くの生き物や亜人が世界樹周辺には暮らしていたのである。


遠い昔、湖の周辺の湿地帯にはリザードマンが、森では多くの獣人が、そしてたくさんの動物たちが森の恵みを糧に生活していた。

そうした者たちの都となるのが、世界樹の根本の小島である。


湖に橋のようにかかる世界樹の根を渡り、最初に獣人が小島での生活を始めるようになった。

あっという間に小島の人工は一杯になり、幹や枝に小さな家を立て木の上で生活する者が出てくると、多くの鳥人族が訪れるようになった。


鳥人族の中には、世界の各地を渡る種が存在する。

その者たちがきっかけとなり、金銭の概念がこの地にも浸透するようになった。そして、周辺の国との交流が始まる頃には、世界樹は国と呼べるほどの規模になっていた。


こうして、獣人国家ユグドラシルは誕生したのである。


◇


それから長い年月を経て、遠く離れた砂漠の民である人間族とも貿易をするようになっていた。

砂漠の民は、ドスティール砂漠にあるオアシス都市に住んでいる。そして、砂漠の民にとっては何よりも水が貴重だった。

そんな砂漠の民の生活を、変わった形で支えているのが、世界樹である。


世界樹の枝は水魔法の効力を増幅させる特性があった。

砂漠の民は生活に必要な水を少しでも多く確保するために、水魔法を使う。

その水魔法の効率を飛躍的にあげる世界樹の枝は、もはや彼らにとって無くてはならない存在だった。


彼らは、世界樹の枝をユグドラシルから受け取るために、毎年多くの財宝やマジックアイテムを納めていた。これらは、砂漠に存在するダンジョンや遺跡から発掘される物品が主である。


世界樹は毎年新しい枝を生やす。

年に一度の収穫祭のときに、祈りを捧げて決められた数の枝を剪定する。そうして切られた枝の多くは、国の重要な神事や祭事に用いられ、残った物だけを砂漠の民との取引にまわしていた。


こうして、獣人国家ユグドラシルは砂漠の民との有益な貿易により、年々その規模と力を増していったのだが、強欲な砂漠の王が世界樹の枝をもっと多く寄こせと言い出した頃から──

──彼らの歯車は狂い始めた。


当時のユグドラシル国王は、国を大きくすることに邁進していたため、砂漠の民の要望通り輸出する世界樹の枝を増やそうとしたのだ。しかし、この国には古くからの掟があり、世界樹の枝を決まった数以上に切ることは許されないのだ。


そのため、元老院や多くの民は国王に対して強く反発した。

だが、国王は王命により、あろうことか民の祭事に利用されるはずだった枝の配分を減らしたのだ。

そうして国民をないがしろにして確保された世界樹の枝は、砂漠の民へ向けて輸出されることになったのである。


例年より多くの枝を手に入れた砂漠の王は、それをたいそう喜び、たくさんの財宝をお礼に送ってきた。

しかし、次の年もその次の年も要求される世界樹の枝の量は増えていった。

そして、断ろうとすると財宝やマジックアイテムの貿易を一切やめると言い出したのだ。


財宝はともかく、マジックアイテムはいまやユグドラシルの民の生活にとっては必要不可欠な存在である。

そのため、結局は砂漠の王の要求を断りきれなかった。

数年後には祭事に使う枝の配分を減らすだけでは、足りないほどの量を要求されるようになってしまう。


──もはや、掟を破るしか無い。


そう考えた国王は、世界樹の枝を掟で定められた数より多く切り落としてしまったのだ。

こうして、要求される世界樹の枝の量が増えると共に、切り落とされる枝が増えていく。


それでも、ユグドラシルの国王は従い続けるしか無かった。

マジックアイテムがないと民の生活が成り立たないからだ。

自分たちの生活のためとは言え、信仰の対象である世界樹の枝を切り落とす本数が増えていくごとに、国民の不満は溜まっていった。そして、その矛先は最初に掟を破った国王に向かった。

民の不満は年々増していき、やがて内乱が勃発する。


しかしユグドラシル国王派閥は、その頃にはすっかり力を失っており、意外にも国王が早々に退いたため内乱はあっけなく収束した。

国王がすんなり退いたのは、いざという時は砂漠の王の元へ亡命することに決めていたからだ。こうして、国王を含めた少数の王族はユグドラシルを出て砂漠の王のもとへと向かった。


そして、その年のうちに砂漠の民との貿易は、新しい国王によって禁止される事になった。


◇


これをきっかけに、獣人国家ユグドラシルは砂漠の民──ザシュトール王国と全面的に対立することになってしまう。


*******************


~世界地図~

挿絵(By みてみん)

読んでいただきありがとうございます。

今回はヒストリカルな感じで書いてみました。


次回、宣戦布告。


***************

世界地図について、

予告詐欺のお詫びという訳ではありませんが

以前から考えていた世界地図がようやくそれっぽい形になったので、思い切って載せてみることにしてみました。細かいところは物語の進行に合わせて追記していきます。

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