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将来の夢は魔王になることです!  作者: 月之木ゆう
第三章 ゴブリンとの戦い
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巣穴の内部

結局ジュベナイル・サラマンダーは、送還の仕方が分からなかったのでペットとして同行させることになった。

本来は、召喚主の意志で送還させられるはずなのだが何故か失敗した。しかし、時間経過でそのうち消えるはずなので、問題はないだろう。


「よし、みんな行こうか」

「はい、マスター」


私の声に、獣人三人組の離れてしまっていた心がもどってきて、短く返事を返す。


「あ、ああ」


私はそれをチラリと見た後、ゴブリンの巣穴に利用されているという洞窟に目を向けた。見た目だけ見ると修学旅行で行った風穴に近い感じで、まるで天然の洞窟のようだったが、入り口になにかの頭蓋骨が棒の先に括り付けられて設置されていた。


「入り口に見張りが居ないのが少々気になりますね。」


アイカの感覚では地球の野生動物でも見張りを立てるものがいる中で、ゴブリンがそういう手段をとっていない事には違和感があったようだ。そう思って獣人たちに話を聞いてみる。


「普段なら見張りが2匹以上は居るはずだ」

「何かあったのかも知れないわね」


ディックとミーシャが答えてくれたが、結局ここで色々考えていても埒が明かないと言うことで先へ進むことへ決まった。


「(まずは偵察お願いね。ゴブリン達を探しつつマッピングして。)」


私が心のなかでブラッディーバットに指示を出すと、チチッと軽く鳴いた後にゴブリンの巣穴に入っていく。「一匹で行っちゃったけど大丈夫かな」と心配に思った瞬間──


「「「キーキーキー!」」」


突如として数え切れないほどのコウモリの群れがどこからか現れ、ブラッディーバットに続いて洞窟に入っていった。

1匹では頼りない気がしていたが、これだけ居るならマッピングも簡単だろう。


◇


一つ誤算だったのは、自分の召喚したブラッディーバットが他のコウモリにまぎれてしまって、どれが自分の呼び出した個体だか分からない状態になってしまっていたことだろう。


「(あれ?私が呼び出したのってどの子だっけ・・・)」


私たちは洞窟の奥に入っていた。大体100メートルくらい進んだところで三叉の分かれ道があり、どちらに進むか皆で話し合っていた。


「チチチッ」


すると丁度いいタイミングで偵察に向かわせていたブラッディーバットが戻ってきた。意思の疎通が図れるので、召喚した個体で間違いないだろう。

アイカがブラッディーバットからもらった情報を整理してくれる。


「こっちに行くと・・・」


アイカが割り箸くらいの棒を抱えるように持ち、地面にカリカリと地図を描きながら説明してくれた。どうやら、この先も無数の分岐があり、簡単には最奥までたどり着けないようになっているようだ。少なくとも春夏には道順を覚える自信は無かった。


「最奥には何があるんだ?」

「詳細はわかりませんが多数のゴブリンがいるようです。私達よりも大きいゴブリンも1匹だけいるようです。おそらく頭目でしょう。」


ディックの質問にアイカが丁寧に答えてくれた。三叉路の右に行くと最奥、真ん中は食料庫、左は小さい個体のゴブリンが多数いるようだ。


「アイカ、どっちに進もうか。」

「最奥に向かいましょう。私が案内します。」


そう言ってアイカが示したのは右の通路だった。


「おっけー。ボス狩りだね!」

「はい!」

「おう!」


春夏はまだ少しMPに余裕があることもあり、Lvアップでどれほど強くなったのか試したくてウズウズしていた。やはり、数値を知っただけではどの程度の強さになったのかわからないのだ。

例えば握力20kgを狙って握ってくださいと言われても、一度試してみないと分からないようなものだ。

ゴブリンを倒すのは握力測定とはまた違うのだが、いずれにしても実践あるのみである。


一行はアイカの先導のもと、最奥に向けて歩みを進めるのであった。


◇


「あ!」


最奥の少し手前まで進んだところで、春夏が不意に声を上げた。


「あ!」

「マスター!もしかして・・・。」

「ディー子がやられちゃった。気づかれたと思う!」


ディー子とは春夏が洞窟の入り口で召喚した使い魔のブラッディーバットのことである。ここへ来る途中で思いついたようだが、名前を与える前にやられてしまったようだ。ネーミングセンスは皆無だったので、むしろ名前をつけられなくてよかったかも知れない。


──サーチ・エネミー


アイカがすかさず索敵魔法を唱え詳細な敵の情報を集める。


「やはり気づかれたようです。中にいるのは30匹程度ですが、どうも武装して待ち構えているようです。特に頭目と思われる個体は巨大な斧を持っていて危険です。」

「その頭目は私とアイカで相手をしよう。」


その後、簡単に打ち合わせをした後に、私は宝剣を抜き、アイカはグレートソードを2本取り出し、念動で自分の周りを浮遊させた。

春夏とアイカが臨戦体勢に入ったことで、反射的に獣人三人組も各々の武器に手をかける。


「わ、分かった。ティグリス、ミーシャ、俺が前に出るからお前達は援護だ。ミーシャ絶対に前に出るなよ。」


ディックが素早く二人に指示を出した。3人の中では一番頼もしい。


「支援魔法をかけます。」


──ストレングス・インクリース

──クイック・モーション

──ディフェンス・インクリース

──プロテクション


アイカが定番の支援魔法セットを全員に付与した。


「さんきゅ、いつでも行けるよ。」

「わかりました、皆さんも準備はいいですか?」

「おう」

「うん」

「大丈夫」

「相手は昨日前に村を襲った者よりも強敵です。連携して倒してください。怪我をしたら私が直しますので、すぐに下がってください。あとは先程言ったとおりに。」


皆の準備が整ったところで、春夏が号令を下す。


「行くよ!」

「はい!」

「「「おう!」」」

「キューィ!」


春夏の声に合わせて皆が一斉に駆け出した。

その中に一匹ジュベナイル・サラマンダーが混じっていたのは言うまでもない。


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