悩み相談
翌朝。
「うう、昨日なんか変な夢を見た気がする。」
春夏が眠たい目をこすりながら、ゆっくりと身体を起こすとアイカが様子を見に飛んできた。
アイカは一足先に起きて朝食の支度をしていたようだ。何かを焼いているような香ばしい香りがする。
「マスター、寝不足ですか?」
「んー、ぐっすり眠れてはいるよ。」
春夏はそう言って伸びをする。
寝不足ではないが悩みならある──
──珍しいことに。
「ちょっとね・・・」
そう言いつつ少しだけ思案する。
やっぱりアイカには相談したほうが良いよね。
「なんでしょう?」
「私さ、やっぱり変なのかな?」
そう言って春夏が語りだしたのはグロテスクなものに対する耐性のことだった。
ゴブリンを切った際に、今までだったら卒倒してしまっていそうなくらいグロテスクな光景を見たのに軽い不快感くらいしか感じなかったこと、殺したのに罪悪感が全く無いことに対する違和感をアイカに話した。
「そうですね。
私には元々ない感覚なので分かりませんが・・・」
そう言ってアイカはそこで言葉を切り、腕組みして思案する。私はアイカの言葉を待ちながらベッドから降りてダイニングに移動する。
「マスターは私の知っている範囲だけでも過激な描写の作品はいくつも見ておりますし、最近では・・・」
アイカの説明を聞きながら春夏は最近の行動を思い出す。
大学で所属しているサバイバル研究部での体験や、ゲームショーでのゾンビゲーのVR体験など、思い返してみれば最近はグロ耐性が付きそうな事も結構やっていたような気がしてきた。
「それに戦闘中にそういったことに気を取られない事は大事なことだと思います。」
アイカが言うように、敵と切り結んでいるときにグロ耐性がなくて怯んだスキにやられるなんてことがあったら目も当てられない。春夏は脳内で、敵と戦っている真っ最中に血を見て卒倒して、そのままやられてあの世行きになる間抜けな姿を想像していた。
(もしかしたら女神様がなにかしたのかもしれない)
「ありがとうアイカ。スッキリしたよ。」
やはり、悩み事は人に話すとスッキリするものだと改めて思う春夏であったが、このときアイカがMPの減少対策で悩んでいたことに気づけばよかったと、後になって公開することになるのだが、それはまだ先の話である。
「いえいえ、お役に立てたようで何よりです。」
ぎゅるるるるぅ、ぐううう~~っ
スッキリしたところで、春夏のお腹が鳴った。
「あはは」
春夏が慌ててお腹を抑えて照れ笑いをする。
それを見たアイカはニッコリと明るい笑顔で言った。
「朝ご飯にしましょう!」
アイカの悩みも早く解決すると良いのですが。




