ゴブリンリーダー
ゴブリン4匹が次々と倒れていく。
1匹目のゴブリンを切り裂いてから連撃を放ち、流れるような動きだった。
その動きはまさに一流の剣士のそれであった。
(やっぱり身体が自然に動く。)
私は運動神経は悪くなかったが、剣道の心得なんてないし、もちろん剣もこちらの世界に来てから初めて持つが、どうやらこの身体が覚えているようだ。
春夏の身体はこちらの世界に来た際に、ドラゴンズリングのアバターの姿となっていたのだった。
「ギイギャギャギャギャギャ!!!」
村の入口のゴブリンが倒されたことに気づいた他のゴブリン達が不快な叫び声を上げながらこちらに走ってきた。
「残り18匹です。獣人達を包囲していたものも含め、残りすべての敵がこちらに向かってきています。」
「よし。」
村の中の一際大きな石造りの家に獣人達は隠れているようで、先程までゴブリン達がそのまわりを包囲し、ボロボロの武器で扉をこじ開けようとしていた。だが、私に気づいたゴブリン達は全員がこちらに向かってきていた。扉の見張りを残すとか、そういった知恵はないのだろう。
だが良かった。ひとまずこれで獣人たちは安全だ。
私は迫り来るゴブリン達に対して剣を構える。
鬼喰はさらに追加で3匹分の魂を喰らったため、脈動の激しさが増していた。
残り18匹のゴブリン達が一斉に私に襲いかかってくる。
1番突出しているゴブリンが右手に持った錆び付いた剣を無造作に振りかぶるが──
「はっ!!!」
──斬撃
腰溜めに構えた鬼喰を横薙ぎに振り抜いた。ゴブリンは振りかぶった剣を、振り下ろすこと無くあっさりと両断された。
「次!」
◇
「ラスト!」
「はい、残り1匹です。盾と剣を持っています。おそらくこの集団のリーダー格です。」
私はバッタバッタとゴブリン達を倒していき、残りはリーダー格の1匹だけになっていた。リーダー格は他のゴブリンとは体格も装備も異なっており、この集団の上位の存在であることが見て取れた。
リーダー格のゴブリンは軽鎧を着て、右手に鉄の剣、左手に木製の盾を持っていた。剣は鉄製のショートソードで、錆びてはいないがきちんと手入れをされている訳でもないようで傷や凹みが目立っていた。盾はウッドバックラーと呼ばれる物に似ており、主材は木で縁を金属で覆って強度を確保しているものだ。
それらの武器を持ったリーダー格のゴブリンの体中に傷跡があり、数々の戦いを生き抜いてきた事を物語っている。
「ゲギャァアアアア!!!」
リーダー格のゴブリンが雄叫びをあげながら、剣と盾をガンガンと打ち鳴らし、強烈な殺意をこちらに向け突進してきた。




