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将来の夢は魔王になることです!  作者: 月之木ゆう
第三章 ゴブリンとの戦い
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正面突破

私はアイカの言葉に小さく頷き走り出した。

正面突破だ。


走りながら闘気を練り上げ、身体に纏う。すると身体から青白いオーラが立ち上りはじめる。

確かな力を感じながら、ゴブリンに迫る。


「気づかれた。」


ゴブリンまで距離はあるが、正面から突っ込めばさすがに気づかれてしまうようだ。気づいた4匹のゴブリンのうち2匹はボロボロの剣を構えているが、残りの2匹は弓を構えていた。

その2匹が、こちらに敵意を向けしっかりと見据えてくる。


(これが殺気か。)


背筋に冷たいものを感じた。

相手がゴブリンとはいえ、今の私はLv1でHPは13しかない。ゴブリンの貧弱な一撃でも急所に攻撃を食らえば即死だろう。全身の筋肉が緊張し、本能が危険だと警告を発しているかのような感覚があった。


私が初めて感じる殺気に意識を向けているのを隙と見たのか、ゴブリンがニヤニヤと不快な笑みを浮かべ弓を引き絞る。


「まずい、急所にあたったらやばいかも。」


そう言った時、アイカの声が脳内に直接届く。


『正面突破でいけます。問題ありません。』


その声は無機質ながらもどこか優しい感じがした。

私は声の指示にしたがって、勢いを落とさずにゴブリンに向かって駆けた。


「ゲガギャガァアア!」


直後、ゴブリンが奇声を上げて矢を放った。

矢の狙いは思いの外正確で、真っ直ぐに私の顔に向かって矢が飛翔する。こちらから走って近づいている為、相対的に矢も高速で向かってきているように感じた。

このまま命中すれば私は即死してしまうかもしれないが──


──アロー・シールド


カキンッ!!!


──アイカが私の前に飛び出し、遠距離物理攻撃防御に特化した障壁を展開した。すると、私の周囲に透明な障壁が現れ、甲高い金属音をあげて矢を難なく弾いた。

矢が障壁に弾かれた瞬間、ハニカム構造のドーム状の空間のゆらぎのようなものが、一瞬だけ2人の目には写っていた。


「ナイスアイカ!」

「いえ。」


私の賞賛の声に淡白に答えるアイカ。

コンバット・アシストモードでは、感情的な表現は抑制しているので、機械的な対応になる。


だが、私には分かっていた。

アイカの感じている嬉しさや戦闘での高揚感が、魂の繋がりを通して伝わってくる。

アイカはしっかり役割を果たしてくれた。


次は私の番だ。


鬼喰(オニクイ)を握る手に力を込め、体に纏った闘気を一気に流し込む。

直後、それに答えるように鬼喰(オニクイ)が禍々しいオーラを纏った。


(この感じ。)


鬼喰(オニクイ)が満たされた。

私は更に体にまとった闘気を両腕に集中し、袈裟斬りに鬼喰(オニクイ)を全力で振り下ろした。


「はあっ!!!」


──斬撃


ゴブリンは慌てて剣で攻撃を防ごうとするが……

……遅い。


私が振り下ろした鬼喰(オニクイ)が、ゴブリンが構えた剣を素通りして肩口から脇腹にかけてを切り裂く。斬られたゴブリンは、綺麗に両断されその場に崩れ落ちた。

その様子に呆気にとられた周囲のゴブリン3匹が目を見開いて、倒れた仲間とその魂を喰らって脈動(・・)を始めた鬼喰(オニクイ)を交互に凝視している。


私はそのままの勢いで、その3匹にも連続で斬撃を放ち切り裂いた。

ゴブリン4匹が次々に倒れてゆく。

1匹目のゴブリンを切り裂いてから連撃を放ち、流れるような動きだった。


その動きはまさに一流の剣士のそれであった。


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