コンバット・アシストモード
「ちゃんと足音消えてるよね?」
「はい!ばっちりです。」
消音は問題なく発動していた。姿が消えるわけではないので、この世界では敵にどの程度気づかれにくくなるかは不明だが、暗闇に紛れての暗殺であれば格段に成功率があがるだろう。
そして忘れてはならないのが武器だ。
武器は、背中の直刀、それに仕込み武器の数々、そして特筆すべきは腰のベルトにセットしてある短剣2本だ。一本は雷光、雷属性攻撃と麻痺付与の効果がある青白く光る刀身の短剣。もう一本は黒牙、闇属性攻撃と猛毒付与の効果がある漆黒の刀身の短剣である。この2本は伝説級の武器で、かなり苦労して手に入れたものだ。
「アイカ、ステータスはどう?」
アイカが私の肩に触れステータスを解析する。
名称:朝比奈春夏
年齢:20歳
種族:魔王種
職業:忍
ステータス レベル:1
HP:19/13+6
MP:6/6
腕力:21
体力:6
敏捷:5+5
知力:4
魔力:1
器用:3+3
(やっぱりこんなもんだよね。)
俊敏と器用は倍になっているようだが、元が低いので正直微妙だった。少し落ち込むが、今はそんな事を考えている場合ではない。
急いで、村に行かなければ。
「アイカ。行くよ!」
「マスター待ってください!」
「む。」
「これを。」
出鼻をくじかれて一瞬だけムッとした春夏であったが、アイカが差し出してきた猫耳と尻尾を見てハッとなる。
危ない危ない。危うく人間だとバレてしまうところだった。
「ごめん。ありがと。」
「いいえ。マスター!行きましょう!」
「それ私のセリフー!」
私は村を包囲しているゴブリンに向かって駆け出した。
アイカも私に追従しながら飛行している。
「アイカ、ここでアレを試してみるよ。」
「了解です。」
そして、私はコマンドを静かに、されど力強く言った。
──コール──コンバット・アシストモード──開始(Activate)
「コマンドを受理しました。コンバット・アシストモードへと移行……
これより、マスターの発言はすべて命令として扱います。」
アイカはこちらの世界では妖精の姿だが、元々は私の作ったAIだ。ドラゴンズリングでの戦闘時と同様に、コンバット・アシストモードもこちらの世界で使えていた。ゲーム内では、ボス戦や大群相手のときなどはいつもこのモードで戦っていた。コンバット・アシストモードは、アイカの元々の役割だった戦闘補助だけに機能を絞ることにより、行動を迅速にするものである。モード移行は問題ないようだが、こちらの世界に来てからの戦闘は初めてだ。
果たしてうまくいくだろうか。
ゴブリン達にはテストに協力してもらうとしよう。




