ゴブリンの襲撃
「アイカー、疲れたよー。」
「マスター、もう少しファイトです!」
私たちは、ティグリスの村に向かって森の中を歩いていた。
夕闇も深くなり、辺りはすっかり暗くなっていたので、アイカの魔法でルミナスエレメンタルを呼び出して、照らしながら進んでいる。
まだ明るいうちに出発したが、ティグリスの案内があったときと違って、手探りで森を移動するのは思っていたよりも骨が折れ、かなりの時間がかかってしまっていた。
森を熟知しているメトシェラがいれば少しは違っただろうか。そういえば彼女達はどうしているだろう。
「メトシェラ達は何してるかな?」
「拠点強化や食料確保など色々とお願いしてます。」
いつの間に仕事を指示したのだろう。
「さすがアイカ。抜かりないね。」
「えへへ。これくらい当然です。」
私に褒められた妖精姿のアイカが照れて、頬を赤くしながら飛んでいた。ちょっとかわいい。
ということで今回のメンバーは私とアイカだ。ドライアドのメトシェラとゴーレム達もついてきたいと主張したが、獣人達を怖がらせてはいけないので置いてきた。メトシェラだけでもとは思ったが、2人だけで旅するのに少しは慣れておいた方が良いだろうと言うことだった。
「この辺でどうかな?」
「やってみますね。」
村にある程度近づいたところで、アイカにお願いして索敵を行う。
──広範囲索敵──ワイドレンジ・サーチエネミー
「どう?」
「いました!ゴブリンです。数42。村の周囲に20と、村の中に22です!」
「え!?もう襲われてるの!?」
春夏の脳裏には、ゴブリンに蹂躙されるティグリスの姿が思い浮かんでいた。
気持ちが焦る。
ゴブリンはドラゴンズリングにも登場する人型のモンスターだ。人型とは言っても、緑の皮膚を持ち醜い顔をしていて身長は人間の子供程度なので、人間と間違えることはまず無いだろう。環境への適応力と繁殖力が高く、集団で狩りを行う。
ゲーム内の設定では世界のあちこちで、村が大量のゴブリンの集団に襲われて滅びるという事件が起きたという話がある。個々の戦闘力は高くないものの、数にものを言わせ襲いかかってくるのだ。しかも夜行性なので真っ暗な夜に奇襲をしかけてくる。蹂躙された村の女性と子供は、特に悲惨な目に遭うことになるらしい。
(ティグリスは大丈夫かな……。)
とても心配だ。




