かくれんぼ
森の中の家まで帰ってきて翌日。
「ん~!良い天気。」
「ですねマスター。空気が美味しいです。」
私は家から出てすぐのところで大きく伸びをしていた。
昨夜はティグリスを村まで送り、そのまま蜻蛉返りで拠点の家まで帰ってきていた。
初めて夜の森を歩いたし疲れたので、帰宅後にすぐ寝たのだ。
ちなみに今日の朝食はりんごである。
りんご以外にも、メトシェラが採ってきたというブルーベリーくらいの大きさの赤い果実も味見してみたが、凄まじく酸っぱくて食べられなかった。なんでも獣人達や森の動物とかは食べているようで、採ってきてくれたようだが。栄養満点だから動物も食べているのだろう。これだけ酸っぱいのだからきっとレモンの100倍くらいはビタミンが含まれているのだろう。たぶん。
アイカはというと、すっぱーい!と言いながら、どこか嬉しそうに食べていた。おそらく彼女にとっては初めての味なので嬉しいのだろう。
「あれ?ゴーレム達はどこに行ったの?って言うかこんなに大きな木あったっけ。」
私はそう言いながら、家の前の巨木に手を触れた。
「ワシじゃ。」
「ぎゃぁあああああ!!!」
久しぶりの脳内音声──
──ではなかったが、突然上の方から声が聞こえてきた。
びっくりした。
私が触れていた巨木の正体は、擬態したエルダーだった。
「マスター、みんなティグリスに見つからないように隠れていたんです。」
「あれ?でも昨晩はエルダーは隠れてなかったよね?」
「なんでも元の姿に近いほうが落ち着くようでして。」
木そっくりに擬態しているエルダーを見つめながらアイカが言った。
そもそもゴーレムって擬態とかできるものなのだろうか。
そんな事を考えながら、家の庭を見渡すとどうも見覚えのない巨大な岩がいくつかある。
「ってことは、この岩も?」
「春夏様。ご明察でございますわ。」
メトシェラが言う。
すると、ロックゴーレムが地面からその巨体を持ち上げて出てきた。
「ロックゴーレムはわかりやすいね。あとはアースゴーレムとウッドゴーレム。」
二十歳にもなって無邪気にゴーレムとかくれんぼを初めてしまう春夏であった。
もっとも春夏が専ら鬼なのだが。
◇
ロックゴーレムに引き続き、ウッドゴーレムは割と簡単に見つけることができた。なにせ、木の根部分の地面がふかふかしており、はっきりとした違和感があるのだ。しかし──
「ダメだ。全然見つからないよ。アイカ!ヒントちょーだい!」
──アースゴーレムは強敵だった。
一向に見つからないまま時間ばかりが過ぎてゆく。
「そうですね。まだ探していないところがあるのでは?」
「家の中?地面の中?」
「ではないですね。」
「ん~。」
考えることきっかり1分。
春夏にしては割と長時間飽きずに考えていた。
「分かった!この中!」




