猫耳メイド
「お似合いです。春夏様……!」
メトシェラが恍惚とした表情で春夏を見つめながら言った。
春夏は、アイカの発案で獣人に化けることになり、猫耳と尻尾、それにメイド服を装備させられていた。
アイカが取り出したのは耳、尻尾、メイド服の3点であった。耳と尻尾は、髪の色に合わせた紅蓮色だ。メイド服は、非常に完成度が高くフリルが付いていてかなりクォリティが高い。一度だけ秋葉原の某喫茶店に親友かつネトゲ友達の友奈と一緒に行ったことがあるが、正直なところそのメイドさんがたくさんいる喫茶店の制服よりも作り込まれていた。
「うう……、ダメって言ったのに……。」
「ほんとによく似合ってますマスター!特にその尻尾につけられたリボンが良いですね。」
涙目の春夏。それでも絶賛するアイカ。
「うむ、馬子にも衣装であ……うがっ!」
それに同意して人差し指に嵌められたプロフェスが、ずっと黙っていたのに急に春夏の評価を口にする。
だが、すかさず春夏が指でピシッと弾き黙らせた。
竜の指輪の中の人であるプロフェスは普段は黙っているが、なぜかこういう時だけ喋るのだ。
「あんたは、黙ってなさい!エロ指輪!」
初の転職の際に裸にされたため、その時の印象が強く春夏からエロ認定されてしまったようだ。まぁ、裸にされたと言っているが、あれは事故のようなもので狙ってそうなったわけではないのだ。どちらかと言うと、その後プロフェスが放った一言が決め手なのだが……。
神話級アイテムも形無しである。
名誉挽回にはまだしばらく掛かりそうだ。
「アイカ、尻尾と耳は良いんだけどなんでメイド服もなの!?」
春夏は羞恥心で耳まで真っ赤になりながら、アイカに尋ねる。
「私のこだわりです。」
アイカがきっぱりと言い切った。
「なにそれ……。」
「やはり猫耳、尻尾ときたら次はメイド服で……。」
アイカが熱弁することきっかり10分。
「却下。」
春夏がメイド服から元の魔法使い用装備のノワールシリーズに着替えていた。
猫耳と尻尾は獣人に化けるのであれば必須だろうし百歩譲って良しとしても、メイド服は絶対に嫌だ。
恥ずかしすぎる。
そんなことを考えていると──
「あれ、お姉ちゃん誰……?」
──少年が目覚めた。




