グルメ旅行宣言
「いやー!満腹満腹。」
「私も食べ過ぎちゃいました~」
大きめのイノシシを私とアイカは二人で、完食してしまっていた。
ちなみに、モツ類は調味料に漬けてツボに入れ、アイカのアイテムボックスに収納したようだ。あとで調理して食べるらしい。
「食事って凄く良いものですね、マスター。」
アイカがしみじみと語る。
元々AIだったため、妖精姿になり食事ができるようになった事がとても嬉しいようだ。
「それじゃさ、この世界を旅して美味しいものたくさん見つけようよ。」
「マスター、素晴らしいです!グルメ旅行ですね!」
アイカが眼をキラキラさせて言う。女神の言葉により、この世界を知ることが当面の目標だったはずだが、春夏とアイカの頭の中では既にグルメ旅行のついでになってしまっていた。
去年コラボカフェで食べたメニューの話をしてやると、アイカがどこからかメモ帳を取り出して、熱心に書き記していた。
ちらっと見せてもらうと、メモ帳も妖精サイズなので目を凝らさないと見えないのだが、挿絵まで書いてあった。ランキングなのか、数字も振ってあった。流石アイカだ。マメである。
◇
「アイカ、あの獣人の少年どうしようか。」
「迷子ということであれば、家族の元へ返すほうが良いのでしょうが……。」
残念ながら迷子ではなく、捕獲というか拉致のような形でメトシェラが捕らえてきたので、どうしたものかと思案する。
二人で悩むことしばし。
「春夏様、アイカ様!少年が目覚めましたわよ。」
「ありがとう、いま行く。」
少年の今後についての考えは放棄し、とりあえず彼の様子を見に行く二人であった。
◇
「……ん、ここは?」
少年がか細い声で小さく疑問を口にする。
「ここは私の家だよ。」
春夏が答えた。
「え、誰な……
ってええええ!!!人間!?」
少年は私を見るなり、飛び起きた拍子にベッドから転がり落ちた。
ゴツン!!!
「ひあっ……」
少年が小さく声を上げて、再び気絶した。
頭の上で星がくるくる回っているようにアイカの目には写っている。
一方、春夏は初対面の美少年に突然怯えられて、内心ショックを受けていた。
◇
「春夏様、この付近の獣人と人間は敵対関係にあるのです。」
メトシェラが植物を器用に操作して再び少年をベッドに寝かせながら、そう言った。
「なるほどそういうことでしたら……。」
アイカがポンッと手をたたき、妙案を思いついたといった表情になる。
そして徐にアイテムボックスから3つのアイテムを取り出した。
「え、ちょっと何するのアイカ!」
「マスター、これをつけてください。」
「まって!それは……!
ああっ!ダメッ!」
「大丈夫です。マスター、痛くしませんから!きっとすぐに慣れますから!」
アイカの眼がキラーンと怪しくと光った。




