華麗なる変身と嫌な予感
この時代の文化水準は良く分からないが、髪の毛を洗うシャンプーや髪質を整えるコンディショナーに相当するものがあるらしく、ゴワゴワしてアブラムシのような匂いをしていた髪がサラサラヘアーになって窓から差し込む陽射しを浴びて光り輝いたときはメイドたちは歓喜の声をあげて喝采しあった。
そしてどこから出して来たのか下着やドレスを当てて、サイズ調整をするとフランス人形のような可憐にして美しいお嬢様が出来上がって来る。
メイドは口々に意見を交わしながら手を動かし作業をする。
「この袖ぐりを少し縫えばバランスがよくなるわ」
「体が締まってるから、もう少しここは細目に直すわね」
「コルセットは必要ないわ。ウエストが十分しまってるもの」
「あら、なんて形の良いお尻ですこと。プリンと上に上ってドレス映えするわね」
姿見に映ったその姿をみれば領内で悪ガキ集団のガキ大将のロッキーだとは誰も思わない変身ぶりだ。
さらにファンデーションのようなものや白粉、口紅などをつけて日焼けの顔を隠せばチェリー自身も見て惚れ惚れする美少女の誕生だ。
このときチェリーは8才になっていたが、十分男を惹きつける容姿容貌になっていたのだ。
仕上がった状態のチェリーを領主の前に連れて行くと彼は驚いた。
「なんと!!姉たちよりもランクが上じゃないか。
これは高く売れるぞ。
絵師を呼んで釣り書き用の姿絵を描かせよう。
それと、貴族礼法の家庭教師を呼ぼう。短期で仕上げる腕利きのをな」
どうやらチェリーは自分がどこかに嫁に出されるのではと気づいた。
だが暫くは様子を見なければと何も言わず、大人しくしていることにした。
いざとなればロックに戻ってどこかにトンズラすりゃいいんだ、とチェリーは心の中で呟いた。
男と夫婦になってあれをやるなんてとんでもない。
前世の轟元はそのことを想像しただけで全身に鳥肌が立ったのだった。




