ロッキーとチェリーの二重生活
あるとき同じ領内ながら離れたところの少年たちと衝突することがあった。
近所の十二歳~十六歳の成人前の少年たちが女の子の問題で他所の地の少年たちと争いになりひどい目に遭って帰ってきたのである。
チェリーはその時七歳だったが、その落とし前をつけに十人ほどの子分を引き連れて行ったのだ。
その時の得物は道で拾った石一つで、それを握って人体の急所を叩いて倒して廻ったのである。
他の十人は戦わず棒などを持って牽制する役目で、実質チェリー一人で相手の少年たち十数人を叩きのめして凱旋して来たという。
とはいえチェリーは時間になると朝昼晩の食事が出る頃は、自分にあてがわれた離れの部屋に戻っており、女の子の服を着て猫を被っているので、領内に暴れ者のガキ大将がいるという話は領主館に伝わっても、それとチェリーは結びつかなかったのである。
実は前世の記憶が戻った三歳の頃からチェリーと名乗るのはやめ、自分のことをロッキーと名乗るようになった。
前世の苗字の轟の「ろき」から「ロッキー」にしたのだ。
領主館の使用人たちはロッキーという悪ガキが子供集団を率いているのは知っていたが、それがまさか別館の部屋に監禁?されているチェリエッタ嬢のことだとは夢にも思わなかったのである。
使用人が食事を運べば「ありがとう」とか食器を下げるとき「ごちそうさま」とか言うがその時は女の子の恰好をしているので誰も気づかないのである。
ただ、たまに見るチェリーの顔が良く日焼けしていることが少し不思議に思う使用人たちだった。
しかしそれも別館の裏の花畑とかで花を見たりしていればそのくらいは焼けるだろうくらいにしか思ってなかったのだ。




