狼の月十四日
定番のランニング、掃除、手伝い、遊びを終えた後、私は思った。
このままではいけない。
お供え物を食べたり、お礼の食事を頂いたり、それだけで続くわけがない。
稼ぐのだ。
私は探索者ギルドに行って新規登録をすることにした。
私は笑顔を崩さずに受付嬢のメアリーさんの前に行き、登録の申し込みをしたのだ。
「まあ、今度はお姉さんのチェリーさんが探索者になるのですか?
Fランクからになりますが、気をつけてくださいね」
「はい」
「最初は行けそうな所までですよ。
絶対無理はしない事です」
「はい」
チェリーが手続きを終えて去った後メアリー嬢は首を傾げる。
「おかしいな。
あの笑顔は絶対自信があるって顔だった。
初心者の筈よね?
じゃあ、あの余裕はなに?」
チェリーこと私は一階層も二階層もただ知ってる最短のコースを早足で歩いた。
途中のモンスターは威圧で遠ざけてパスして行った。
三階層はゴブリンだった。
最低限の対戦で通った。
四階層はゴブリンが複数だ。
といっても二匹かたまに三匹。
瞬殺だった。
前の時はもう少し時間がかかった。
四階層ゴブリンが五六匹。
アーチャーとかメイジがいたが矢が当たってもファイヤーボールが来ても何も感じなかった。
五階層ではボス部屋があってそこで三匹のゴブリンソルジャーを従えたゴブリンロードがいたが、同重同筋で戦って楽しかった。
そして宝箱はちょっと良い感じの短剣が入っていた。
使わないので売ろう。
六階層から九階層はコボルトやダイアウルフやオークが色々組み合わさって出て来た。
そして何故か十階層にはミニミノタウロスが出て来てボス部屋はミノタウロス一匹だ。
ミノタウロスはオークよりも大きい。
オークなら何とか戦えたがミノタウロスはその倍もある。
今までは無理だった。
でも今回は五秒で倒した。
それも遊びながらだ。
勝った後、何故か涙が零れて来た。
十年間もここには近づかなかった。
この壁は越えられなかったからだ。
余りにも呆気ない勝利で?分からない。
そして宝箱でスクロールが出た。
『剛力』だ。
いらないので売ることにする。
今日はお宝を二つ手に入れたのでそれを売って何かたくさん食べよう。
ようやく食べて行ける目途がついた。
ギルドの素材換金で金が入ったのでギルド食堂で沢山注文してそれを全部平らげた。
するとニヤニヤと笑った男たちが近づいて来た。
「俺たちは『不折の剣』というクランなんだけれどよ。
あんたチェリーさんだろ?
死んだロッキーのお姉さんの?」
話しかけて来たのはあのジャックだった。




