狼の月十二日
あれから私は川上のフルール村まで行ってお供え物の食事を頂き、更に川上に行って湧いている魔獣を狩り回る生活を続けた。
どういう訳かもう二百二十キロを持てる筋力になった。
もちろん合成筋力で、自分の筋力だけでは半分の百十キロになる。
これは本来二十日分の訓練成果に等しい。
疑似最大重量は百六十キロでこれが即最大結界防御力になる。
つまり殆どの攻撃が蚊に刺されるほどの物にもならなくなるということだ。
訓練も既に折り返しを過ぎて残りは三分の一だ。
見事満願の日を迎えれば疑似体重二百十キロ、合成筋力三百二十キロになる予定だ。
だがこの先何があるか分からない。
気を引き締めて行く積りだ。
ところで川を上って行くと川のの幅を全部鉄柵のようなもので塞いでいるのに出くわした。
鉄柵だから流れを堰き止めてはいないが、私は川の中を潜って移動できない。
一度岸に上がってからまた水の中に入って移動した。
あの鉄柵は大抵の魚も通れるし、何のために設置したのかさっぱりわからない。
するとフルール村が近づくと前方に川底に網が張ってあって両岸から引っ張ると獲物がかかるようになってるのに気づいた。
これってもしかして私を捕らえる為?
でもわざわざその網の中に入って行くほど馬鹿じゃないよ?
これは村人の筈がない。
昨日まで私に毎日ご馳走してくれたんだから。
すると何者か調べる必要がある。
私は罠のずっと手前で陸に上がり、徒歩で村を訪ねた。
村人は兵士たちに見張られていた。
「良いか?ここから動く出ないぞ。
リバーメイデンなる者に我々のことを知らせような者なら即打ち首にせよという王子殿下の御命令だ」
「でもリバーメイデン様はわれら村人の恩人です。
毎日川上に湧く魔獣を討伐して下さっているのですから」
「つべこべ言うな。
上の方々にはお前達に及びもしない深い考えがあるのだ」
なるほど王子が来たってことは、王国の判断が俺を危険な存在と判断したってことね?
俺は村長の家に裏口から入って、奥さんに挨拶した。
「しーーー、私はリバーメイデンと呼ばれている者です。
兵士には遠い親戚の娘が遊びに来たという風に伝えて下さい。」
はじめ村長夫人は目玉を飛び出すくらい驚いたが声は立てず頷くとこっそり村長に私のことを知らせた。
すると村長は親戚の娘が来ているからおいしいものを食べさせたいと村に触れ回った。
兵士たちは村の中の催しなのでリバーメイデンに関係がないことと別に干渉しなかった。
村人はご馳走を持って集まり、村長の親戚の娘の私の前に置いて帰って行った。
そして誰かが見張りの兵士にも食べ物と酒をふるまった。
お陰で私は腹いっぱいご馳走を食べてそこをお暇した。上流のモンスターに関しては兵士たちが調べているというのでそこはパスして帰って来た。それから私は明日から川上はやめて川下に行こうと思った。




