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19/30

狼の月二日

今日は二日目だ。


起きると昨日と同じにどんよりと全身に重みがかかって来たが、何故か昨日ほど圧迫感は感じなかった。


それはほんの毛の先ほどの微細な変化だったが、それでも嬉しかった。


今日一日をクリアすると疑似体重が最大七十キロになる。


そして筋力が二十キロになるから同数値の外殻筋力と合わせれば四十キロの物を持ち上げられることになる。


そして疑似体重は結界の強さと同じだから、パンチを浴びても七十キロ以下のパンチだったら何も感じないことになる。


これが八十キロの強さのパンチだったら、差し引き十キロのパンチに感じられるということになる。


ランニングをしながら考えたんだが、毎日五キロの負荷を三十日間と聞くと、うんざりするような感じだが、力はどんどん強くなって行くのに負荷の重さは五キロと一定なのは、日を重ねるにつれて楽になるということではないか?


そう考えた時気持ちの上でかなり楽になった。


頑張れば頑張るほど楽になって行くということだからだ。


教会の中の掃除もだんだん要領を覚えて来た。


今日は子どもたちとも十分遊んだあげた。


そして川の中に入ると真っすぐ城門の鉄柵迄向かった。


鉄柵は真ん中の二本の鉄棒分がなければ小柄な私の体は通る。


そこで手で砂利や土を掘った。


鎧装をしているので、手をシャベル代わりに使っても手指も爪も傷まない。


埋まってる部分の鉄柵の鉄棒を二本折って、そこを通れるようにした。


底に穴をあければ簡単に通れる。


そしてずっと川を下って行くと、川に沿って街道の道が続いていた。


ときどき王都方面に向かう馬車とか逆に王都から辺境方面に向かう馬車を見かけた。




「お父さん、僕目がおかしくなったのかな?」


「どうした、マルコ?」


「川の景色を眺めていたら、水中から綺麗な女の人が顔を出してこっちを見ていたんだよ」


「それはきっと馬車に酔って気分が悪くなったせいだ。

少し横になって休めばいい」


この父子は数分後にはもうそのことを忘れていた。




王都まではまだだいぶ時間がかかりそうだがちょうどそこに村があった。


そして川原で子供たちが遊んでいた。


「ねえ、君たちここは何て村なの?」


「うわぁぁぁ、ビビった」


「川から女の子が顔を出してるぞ」


「よよよ……妖精じゃね?」


殆どの子が驚いていたが一人だけ落ち着いた感じの子が答えてくれた。


「ここは……レノン村だよ」


「そう……じゃあ、十二キロも来たのか?」


「もしかしてお姉さんはアンダンテシティから来たの?」


「うん、そうだよ。だからもう帰らなくちゃ」


「それ難しいと思う」


「どうして?」


「だって川下から川上って流れに逆らうから時間がかかるよ」


言われてみてそうだった。


そこで私は陸路を川に沿って走ることにした。


「それなら川岸に沿って走って戻るよ」


「お姉さん、この先は魔物が出るよ」


「その時は川に入るから大丈夫」


「不思議なお姉さんだね。

服が全然濡れてない」


するとほかの子も気が付いて驚いている。


「ほんとだ。濡れてない」


「不思議だ」


私はその女の子に名前を聞いた。


「あなたの名前は?」


「リサ」


「そう……私はチェリーだよ、さようなら」


それから私は猛スピードで走って戻った。


今日は運動のし過ぎだった。



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