羊の月三十日
今日紙を束ねて穴をあけ、綿糸で閉じて自作日記帳を作った。
修行の三十日分だ。
あの面倒なマニュアルの公式を別紙に描き写して壁に貼った。
私の基本体重は五十キロだ。
基本筋力は十キロだ。
そして明日の朝スキルオーブを吸収すると、基本体重の10パーセントの重みが全身に負荷としてかかる。
つまり五キロの重さだ。
だが実感が湧かない。
足首に重りをつければ、地面から足を離すのに必要な筋肉が鍛えられる。
だがそれはスクワットでつく筋力と違う。
リストバンドのように手首につける重りは腕の筋肉に作用するが同時に体重も増加するので、体重を支える足の筋肉にも影響がある。
だが、明日からの負荷五キロは全身の筋肉に作用するという。
それとあの著書の重さがなくなるまで動き続ける運動について脚注があったので見ると、『マラソン十キロ分の運動量に相当するが、マラソン十キロ走っても負荷は消えない』と書いてあった。
マラソンはほぼ全身運動に相当するが、全身の全ての筋肉を均等に使う訳ではないということだ。
一応明日の課題をクリアすればどうなるかというと、私の肉体は15キロを持つだけの筋力がつき、それと同じだけの筋力が外殻筋として働くので、合計三十キロの荷を持つことができるようになるそうだ。
そして疑似重量が65キロになる。
これは基本重量五十キロに外殻筋力=筋力=十五キロを加えたものだ。
つまり見かけより十五キロも重くなるということだ。
つまり負荷五キロの分だけ筋力も五キロ増えるというのだから恐ろしいスピードで成長することになる。
私は明日からの訓練を控えて胸の鼓動が止まらない。
明日から一度始めたら引き返せない試練に挑戦するのだから。
眠れない?いや、眠ろう。
少しだけ酒を飲んで眠ろう。




