十年後
ここはメロディアン王国の公爵領都アンダンテシティ、最難関ダンジョン『地獄門』のあるところだ。
ダンジョン入り口と併設されている探索者ギルドの入り口で少年たちがもめている。
体格の良い大きなのが五人、小柄で年若いのが7人言い争っている。
「てめえら、田舎から出て来た芋どもが目立ってんじゃねえっ」
「なんだよっ、俺たちが騒いでてあんたらに何の関係があんだよっ」
「通行の邪魔だって言ってんだよ。
ここはギルドの入り口だ。
野良犬がたむろするとこじゃねえ!」
「待ち合わせしてんだよっ。喋ってて何が悪いんだ」
「口の利き方がわかんねえようだな」
大きい少年が年若い方の胸倉を掴んだ。
すると小さい方が相手の手首を掴んで捻り倒した。
慌てて起き上がった男はどんと小さい方を突き飛ばす。
すると即他の六人が臨戦態勢の構えになった。
「こいつら、生意気にもやる気か!」
若い方は色々な技を出して一時は年上の連中を翻弄するが、結局大きい方がパワーがあって、倒されてしまう。
すると膝をついた一人が腰の剣に手をかける。
「やめろっ!馬鹿な真似はするなっ」
甲高い声が止めた。
「ロッキーの兄貴」
みんなの視線が現れた小柄な少年に集まる。
少年は身長は百五十五センチ、体重は五十キロほどの男で顔の左半分は褐色の痣ができている。
左目には黒いドーナツ状の眼帯をかけているが、そこから大きな痣がはみ出ている。
「ロッキー……さんか。
するとこいつらはあんたの生徒か?」
「事情は分かんないが、こいつらが迷惑掛けたんだったら勘弁してやってくれないか?」
「あんたには世話になったことがあるけど、それとこれとは別だ。
それに今では俺たちの方がレベルが上なんだ。
間違えて貰っちゃ困る」
「ああ、わかってる。昔のことを持ち出す気はない。
あとで埋め合わせはする。」
大きな少年たちはそこで手を引いてギルドの中に入る。
そのうちの一人が
「なあ、あの顔に痣のあるガキはなんなんだ?」
「ガキじゃねえよ。ロッキーって言うんだが、俺たちより上だ。
もう十八になってんじゃねえかな?」
「十八?どう見ても十二三かそこらにしかみえねえが」
「体の病気か体質か分かんねえけど、もうあれ以上大きくならねえんだ。
俺たちもこっちに出て来た時散々世話になってな。
けどあいつは10階層より下は潜れないんだ。
さっきも言ったけど、もう俺たちはあいつを通り越してレベルも上だ。」
「まあ、言ってみれば初心探索者の踏み台みたいなもんだな。
ああやって田舎から出て来て右も左もわかんねえガキどもに探索者のイロハを教えてギルドからいくらか謝礼を貰う奴だよ」
「はっきり言ってあいつは俺たちの通過点だけど、あいつは今でも同じ場所を足踏みしてるだけの奴さ」
「哀れだな」
「逆にあの体で十階層まで行けるってことが奇蹟だよ。
それだけ良い技術を持ってるんだが、パワーがないんだ。
いくら鍛えても背は伸びないし肉が付かないってことよ」
「それじゃあ一種の呪い持ちみたいだな」
「あの痣も気持ち悪いし」
「だけどあいつには凄い美人の姉さんがいるんだ。
滅多にお目にかかれないけどよ」
「おい、その話もっと教えてくれ」
彼らの話はまだまだ続きそうだ。




