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異界より來し永遠を司る者 神の脊髄

「ハルト! やっと辿り着いた!」


 青の洞窟の中でフレイルの声が反響する。


 海の中を防御と風の合わせ魔法で進み、水圧で死にかけたがようやく青の洞窟内部に行けた。


 その深部でハルトが三つ目の証の近くで鎮座していた。


 再度呼びかける。


 退かない。


 もう一度呼ぶ。


 見向きもしない。


 何度呼びかけてもハルトは三つ目の証から退こうとしない。

 いや、光り輝く王冠と鎧を纏っているから琵琶湖の時と同じだ。それに、ユーロ達との戦闘の後なのに解除される気配がない。

 暴走している?


 それにしてはなぜ動かない。


 じゃあーーー三つの証を守る番人として機能している?


 いやだ


 怖い想像が頭の中から離れない。


 ハルトは宇宙から来ているけど、人の心を持っている。

 価値観だって少し違うけど、ちゃんと人並みで


 だから、ちゃんと明るく努めて


 笑顔で、ハルトの帰るところになりさえすれば。


 その思考が途絶される。


 腹を蹴られた。


 思い切り吹き飛ばされ、海に沈む。

 激痛


 けれど、なんとか這い上がって


「何すんのよ!ーーーわあっ!」


 ハルトが光の大剣振りかざす


「たんま! 待ってよーーーそんなの振り翳されても困っーーーぐう……」


 防御してもその矢先に破壊される。

 衝撃で吹き飛ばされ、背中を強打した。


 ハルトが無理な前傾姿勢を取る。


 光の大剣を構え、最速の斬りかかりを持って殺そうとしているのだろう。


 その時だった。

 ぼんやりと輝く鎧の下に、何やらーーーぼうっと淡く光る一本の柱が見える。

 ハルトの体を貫くように。


 ーーーあれって光る柱? っていうか、背骨?



 そう思った時、怖気が走るような声でこう言った


「殺戮の従(と)よ、来たれ」



 瞬間、ハルトから分離するように蝙蝠の化け物が現れる。


 青白く光る、怪物が牙を剥く。


 心なしか笑っているように見えた。


 ーーーああ、私の名前じゃないんだ


 怖気よりもそんな寂しさが込み上げる。


「ハルト……私の名前を呼んでよ」


 ハルトが右手をただ出す。


 フレイルを指し示すように。


 化け物がーーー迫り来る。


 永遠を司る者の眷属が、獲物を見つけたと笑った。


 そんな気がした。


「ハルトーーー私は……フレイルだよ」


 眷属が殺しにかかってくる。

 スピードはハルトほどではないが、一撃が重い。

 傍の岩礁が吹き飛ばされ、その破片がフレイルのこめかみをかすめる。

 血が垂れる。

 視界が赤に染まる。

 それでもフレイルは呼びかけながら、魔法を放った。


「ハルト……私は、あんたの、仲間だよ」


 火炎弾が蝙蝠の翼を穿つ。


 痛みを感じないのか、そのまま動こうとする。


 と、思ったその時


「お願いだから……思い出して」


 蝙蝠の化け物の翼が瞬時に治癒された。

 時間が戻されるかのように。


 肩を噛みつかれる。


 血が滲む。


 血を吸われる感覚。


「私は……あんたとのこれまでの旅路が、その全てが輝かしいものだった」


 蝙蝠の化け物を火炎剣を生成して切り払う。


 ガタが来始める体に鞭打って、フレイルは足を引き擦りながらハルトに向かっていった。


「だからーーー戻ってきてよ、ハルト」


 その微かな願いが届くように。祈りながら。


 後ろで、蝙蝠の化け物が両翼を剣のように構え、首を狙っているのをフレイルは知らなかった。


 振るわれる。


 闇の中で、その一閃が。

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