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星が流れるように

 フレイルの決死の体当たりにユーロが剣を振るうことで対抗しようとした。


 薙ぎ払われる剣身。


 切先がわずか2センチと迫ったその時


「単純な攻撃なわけないじゃん、バーカ」


 フレイルの口もとが動いた。


 ユーロの攻撃が鈍る。止まる。


 フレイルはそれを見逃さなかった。


「加速+火炎魔法 拡散炎弾スプレッドフレイム」


 複合魔法。火炎弾に加速魔法を掛け合わせる。発動して対象に直撃すると瞬間的に燃え広がり、焼き尽くすものだ。


 ユーロの衣服に火炎弾が掠める。


 瞬間、爆発するように燃え広がった。


 ユーロの体が刹那のうちに火に巻かれ、焼き尽くされる。


「がああっ……!」


 うめき声が響く。

 熱、火傷、そして炭化していく体。

 それらが凝縮された痛みは相当なものだろう。


 けれど、ユーロは終わらなかった。


 燃えた体でフレイルを睨みつける。


 剣の柄を握り直し、斬りかかろうした。


 が、炭化した左腕が崩れ落ちる。ユーロはその激痛で足を止める。


「終わりね」


 フレイルが氷結魔法でユーロの全身を凍らせようとしたその時、


「貴様がな……!」


 龍槍を薙ぎ払うように振るった。


 フレイルの腹に直撃する。


 だが、薄皮が切れただけだ。


 出血はあるがそこまでじゃない。


 舌打ちするユーロがもう一度振るおうとする。


 フレイルは、「あんたは……もう少し後ろを振り返りなさい。私は立ち止まって思案する時、過去を思い出すこともあるのよ。」そう言って、


「風魔法 ウインディ」


 突風が駆ける。


 ユーロの身体が宙に浮き、後ろへと吹き飛ばした。


 その先でーーー不死の毒蟲アルカディアを殺し尽くしたハルトが待っていた。


 最後の光の大剣の一振りで、燃える不死の毒蟲の体当たりと火の糸をもろともせず、撃滅する。


 五回に及ぶ連撃。


 光の速さのように剣を振るう。


 そして、不死の毒蟲は消滅した。


 その間、わずか20秒。


 ユーロが飛んでくる。


 その身体を見据え、


「ブラックアウトバーン……」


 一言だけ発した。

 直後、凝縮された魔力が光り輝く。

 熱を帯び、世界を照らす。


 もともとの光の大剣の輝きを超えたその光は世界そのものを照らすかの如く。


「くそ……! くそ……! なぜ、私は! お前に……勝てない! 私は……!」


 お前に勝ちたかった

 妹を救いたかった


 師匠を、生き返らせたかった


 ユーロの願い、ユーロの殺意は、復讐はーーー薙ぎ払われるように振るわれる爆発的な光の力によって掻き消えていった。


 ーーーエルフィア すまなかった


 そう、呟いて。

 龍槍をも消えていく。


 しばらくして光が収縮した。


 残されたのはフレイルとハルト、焼け野原にあと一歩となった沖縄の街だった。


 人々の痛みに呻く声が聞こえる。


 フレイルがハルトに駆け寄ろうとした。


 けれど、ハルトの全身が光の鎧で満たされる。


 光そのもので満たされていく。


 宙に浮く。


「待って……!」


 フレイルが手を伸ばす。


 けれど、ハルトは待たない。


 もう、光そのものと化してーーーまるで薔薇の女王ジュリアスとの戦闘時と同じように一条の光と化していく。遠くに見える崖に吸い込まれるように、飛んで行った。


 閃光のように、星が煌めくように。


 フレイルは別れを予感した。


 震えてくる身体を、両肩を抱いてさする。


 寂しさか、孤独になる恐怖か。


 バカかと自嘲するが、フレイルはひとりぼっちであることは現実として覆らない。


 涙が伝う。


 けれど、拭ってフレイルはハルトを追った。


「私が、絶対あんたを取り戻す。三つの証も、絶対手に入れる!」


 そう、願いを口にして。

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