海の光と激雷
ハルトがホテルを取ってくれた後、名古屋駅から中部国際空港へ向かった。
二日後のフライトを予約するためだ。
セントレアには商業施設や航空機の展示があり、少し足を伸ばせばりんくうビーチもある。海を見たり、サウナやBBQを楽しんだりできるらしい。
そして何より、広い海を間近で感じられる。
フレイルはワクワクしていた。
「ね! ハルト、海って滋賀湖よりもでっっっかいんだよね?」
電車の席に座りながらフレイルがそんなことをハルトに聞く。
「ああ、そうだぞ。フレイルが何人いても満杯にならんくらいでかい」
「その言い方ひっど〜」
「ごめんごめん」
「笑いながら謝る奴がいるかー!」
フレイルが膨れっ面をする。
けれど、
「でも、ありがと……海見たかったんだ。だから、寄ってくれるって言ってくれて嬉しい」
ハルトは「やっぱ調子狂うな。」と言いながら頬をかくも、少ししてフレイルの頭を撫でた。
とんがり帽子は避ける。
黒髪のロングで肩口で切り揃えてあるヘアスタイル。
艶があって、滑らかで……。
いやいや!そうじゃない。
フレイルの顔を見る。
フレイルが少しだけ心地良さそうに頬を緩ませていた。
「俺が、お前を守るよ」
ハルトはそう誰に言うのでもなく、静かに決意した。
しばらくしてセントレアに着いた。
「わ〜広いね!」
なんて話ながら、散策しつつもハルトとフレイルはフライト用の切符を買った。
2日後の夕方発だ。
割と近い時に買えたのは良かった。
ハルトとフレイルはセントレア内部でご飯を食べたり、模型の遊べるところでパイロット気分を味わったりして過ごしてーーー。
海に行く前にフレイルは制服から私服に着替えていた。
人間界の人みたいだ。
ハルトが買ったものだが、すごくフレイルに似合っている。
夜、月明かりが照らし出す海の前に来ていた。
「ね? ちょっと海の中入ってみたい。いい?」
「いいぞ、入ってみるか」
フレイルがスウェットパンツの裾をめくる。
靴を脱いで砂浜に素足で立った。
「わ、柔らかい〜」
ちょっとざらざらしてるけど、なんて笑うフレイルが微笑ましい。
ハルトは自分がこのわずかな平和な時間を尊く思っていることに気づいた。
そうか、俺にとってフレイルとの時間はここまで大事だったんだな
フレイルが「わわ! 冷たーい!」なんて言いながらすでにもう海に足を入れていた。
「おいおい! 俺まだ入ってないって」
ハルトもフレイルにならって海に足を入れる。
季節としては夏なのに水の中がひんやりしていて心地がいい。
けれど、夜だからか風があって汗ばむほどではなかった。
2人で追いかけっこをしながら楽しむ。
そんな2人を月明かりが穏やかに穏やかに照らしていた。
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翌日、ホテルから出るとフレイルとハルトは名古屋駅の外を散策し、名古屋港の水族館でクラゲをみたりもしていた。
クラゲ触ると手が腫れるぞなんて話して、フレイルがげげっという顔をするとしてやったりという顔でほくそえむハルト。
フレイルはそのハルトを一発殴っていた。
そしてーーー夜。
インドカレーを食べていると、空が突然光った。
会計を済ませて外に出ようとした時、空が眩い光に照らされる。
まるで白夜のように。
『そこか、裁定者』
「誰!?」
フレイルが右腕で目をかばいながら叫ぶ。
『我は貴様らを捻り潰す存在。明日、この愛知などという土地は地図から消え失せる。セントレア付近で待っているぞ。せいぜい首を洗って断頭される最後までの時を過ごすがいい』
そう言って、白夜が消えるとともに声も聞こえなくなった。
ーーーと思ったその時。
空から巨大な雷柱が、インドカレー屋を刹那のうちに襲った。
まるで、獣が喰らいつくかのように。
人が焼け死ぬ。
店が焼けていく。
ハルトは119に電話して、消防を呼んでいた。
到着した消防の隊員達に事情を話して、その場をあとにする。
ホテルについた。
不安を抱えたまま2人は眠りについた。
その日の深夜ーーー鬼雷法師が、火龍の剣で台風を生成する。
固定された台風が尋常ではない風を撒き散らして、航空機を大破させて行った。
海が、荒れる。




