クールな彼女、拗ねる幼馴染
台北中心部、カフェが立ち並ぶ若者に人気のエリア。
台北でおすすめのおしゃれカフェとしてよく紹介される古民家カフェで、海帆は人待ち顔でアイスティーを飲んでいた。
築年数が百年を超えるレンガ造りが懐かしいレトロな古民家カフェは、木目調の落ち着いた雰囲気が売りで、居心地の良さを感じられる空間づくりが特徴だ。
インスタ映えするような美味しいドリンクがあることでも話題になり、開店当初は中々入れないことでも有名で、海帆も店の存在は知っていた。
この店を指定された時、入れるだろうかと心配したが、平日のお昼を少し過ぎた時間帯ということもあり店内の人の数はまだ少ない。
ゆったりと落ち着ける席に座り、窓の外の道行く人々を観察する。
カウベルの音がして顔を上げると、グロンブル台湾の海帆の前任者、久保田椿が入店してきた。
大きなお腹を守るように手を添えてる姿は、だいぶふっくらとしていて多幸感に溢れている。
海帆はすぐに立ち上がり、椿の手を取って席に案内した。
「カメリアさん、お久しぶりです。お腹、だいぶ大きくなりましたね」
「海帆さん、久しぶりね。元気だった? 大きくなったでしょう。もう大変」
そう言いながら、椿は嬉しそうにして席へと海帆に先導される。
姉の帆波が妊娠した時に付き添いなどを手伝わされていたので、それなりに扱いを心得ている海帆ではあるが、やはり少し緊張する。
「お腹大きいのに、大丈夫でしたか。やっぱり迎えに行けば良かったですね」
「運動しなきゃいけないし、近所だから、丁度いい散歩になったわ」
椿は屈託なく笑って、椅子に座った。
「素敵なお店よね。前から来てみたいなと思ってたんだけど、一人じゃなかなか来れなくて。だからちょうどよかったの」
ふふふと笑う椿は、まるで少女のようだ。
「急に呼び出しちゃってごめんなさいね。びっくりしたでしょう」
「いえ、嬉しかったです。この辺りは来ることがなかったので、新鮮です」
「よかった」
椿はホッとした様子で微笑むと、自分の分の注文を済ませる。
海帆は椿が落ち着くのを待って、切り出した。
「それで、カメリアさん。私に用っていうのは?」
控えめに聞いてくる海帆に、椿は苦笑して首を振った。
「大したことじゃないの。ただ心配になって。海帆さん最近大変そうだったから」
「ご心配おかけしちゃって、すみません」
「謝らないで。私は何もしてあげられなかったんだし。ただ研修生の事件の事を聞いた時には、海帆さんもう日本に行っちゃってたから、すごく心配になっちゃったのよ。このまま戻ってこなかったらどうしようって。でも、今台湾にいるって事は、大丈夫だったってことよね?」
「はい、大丈夫です。一週間の出勤停止で済みました」
「よかった」
椿は心底ホッとした様子で、届いたばかりのホットミルクに口をつける。
「今もまだ出勤停止中?」
「はい。せっかくなんで、どこか観光にでも行こうかと思ってたとこです」
「そうね、気分転換になるかも。仕事始まっちゃうと絶対に行けなくなるし」
「そうですね」
しばらく、どこに行くべきかと近場の観光地の話題に花を咲かせる。
産休に入る前の仕事をしている時でも、椿は穏やかで感情の起伏があまりない性格だったが、今はそれに柔和さが加わったようだ。
話しやすさと居心地の良さがあって、海帆は甘えられる女性の先輩という稀有な存在に有難みを感じる。
「海なんていいんじゃない? 今は人も少なくなってるし」
「海ですか、そういえばまだ行ってなかったな」
椿の提案に、海帆は子供の頃の事を思い出した。
海帆達が小さい頃、世海の祖母リンさんはとても元気で、よく海帆と世海を外に連れ出してくれていたのだが、その中でも浜辺は特にお気に入りのお出かけ先だった。
波打ち際でパシャパシャと飛沫を上げながら走り回るのが好きだったけど、世海はまだ泳げなかったので、海を怖がって片時も離れず海帆の手を握っていた。
「海帆さん?」
椿に話しかけられ、海帆は過去を思い返すのを中断して椿に微笑みかけた。
「なんでもありません。昔の事を思い出してたんです」
「台湾にいた頃のことね」
海帆は頷いて、アイスティーに入ったストローを意味もなくかき回す。
その様子を、椿は興味深そうに見つめてから、ふふっと笑った。
「なんですか?」
「海帆さんって、すごく達観しているっていうか、あまり動じない人だから正直年下に見えないなと思ってたんだけど、
そうやってると年相応に見えるわね」
「私そんなに老けて見えます?」
「見えるわ。熟練感が滲み出てる。多分、知らない人が今の私達を見たら同い年だと思うだろうし、仕事している所を見たら、海帆さんの方が年上だと思うかもしれない」
…………喜んでいいのかな。
複雑な気持ちだが、不思議と悪い気はしない。
椿は詮索をしてこない。
何かあったの? とか、悩みでもあるの? など聞かない。
無理に聞き出そうとしない穏やかな佇まいに、海帆は安心感を覚える。
「カメリアさんと旦那さんって、どうやって知り合ったんですか?」
「馴れ初め?」
首をかしげる椿に、海帆は頷く。
突然の質問だったが、椿は特に気にする様子もなく、教えてくれた。
「台湾に旅行で来た時にハイキングをしたんだけど、その時にガイドをしてくれたのが、今の旦那さん」
「え、そうなんですか。じゃあ一目惚れですか。なんか意外」
「そう? よくある話しよ。気になってしょうがないから、次の日にまた会いに行ったの。すべての予定キャンセルしてね。で、お茶をして、店を出る頃にはお互いに結婚しようという気になってたの」
「……………………」
海帆は絶句した。
物静かでおっとりした椿に、そんな衝動的な決断を下す激情があったとは。
意外過ぎて呆然とする海帆に椿は微笑みかける。
「でも、すぐには結婚しなかったのよ」
「あ、やっぱりそうですよね。何年かお付き合いしてからですか」
「んーそうね。結婚することは決定事項で、お互いそこに向けて色々と準備をする必要があったの」
「へえ」
椿は昔を懐かしむ顔をして話しを続けた。
「彼の方は先に結婚してからでもいいんじゃないかって言ってたけど、私はまず台湾できちんと職に就いて、それなりにキャリアを積んでからにしたかった。将来が不安だったからじゃなくて、その当時の自分に不安があったから。国際結婚をすることになるなんて、彼に出会うまでは考えたこともなかったのよ。仕事だって今とは全く違うことをしていたんだから」
「そうだったんですか」
アイスティーを飲むのも忘れて、海帆は椿の話しに聞き入る。
「何年くらいかかったんですか?」
「六年はかかったかな。グロンブル台湾の前にも別の場所で働いたし」
「結構かかったんですね」
「当初は十年計画だったのよ。彼もよく待っててくれたなと思う」
椿は苦笑をした。
「でも不思議と、結婚する気持ちが揺らぐことはなかったな」
「そうなんですか。少しも?」
「ええ。喧嘩することはしょっちゅうだけど、別れるという選択肢はなかったわね」
椿の淡々とした口調は崩れることはなくて、それがより一層、当時の彼女の覚悟の強さを伺わせた。
そう伝えると、椿はしばらく考えてから言った。
「覚悟を決めた、ていうのとはちょっと違うかな」
「というと」
椿は再び黙考し、ゆっくりと話し出す。
「覚悟を決めるって、凄く強い気持ちみたいでしょ。絶対にこうするんだとか、こうしなきゃいけない、みたいな。私の場合そういうのではなくて、腑に落ちたっていうのが正しいかな」
「腑に落ちたんですか」
「そう」
椿は頷いてから微笑んだ。
「ストンとはまった感じ。綺麗にはまっちゃったら、もうそこに向けて進むしかないから、しょうがない。みたいな」
そう言って微笑む椿の顔は、とても晴れやかで、そしてどこか凄味があった。
身重である椿をあまり長い間外出させてもいけないので、日本から持ってきたお土産を渡すと、二人はカフェを出た。
海帆はもう一つのお土産を下げ、次の行先へと急ぐ。
目的地は、そう遠くない。
台北の居酒屋がひしめく地域へと向かいながら、海帆は椿との会話を思い返していた。
なんだか椿の知らなかった一面を聞いて、目の前に座ってる女性が知らない人のように見えたが、実際のところ、海帆は彼女のことを多く知っているわけではないのだ。
淡々と語っていたが、葛藤が無かったわけではないだろうし、今も思い悩む事はあるはずだ。
それでも、たった一つ揺るがないものがあるだけで、人の行動や将来は定まるものなのだ。
自分には、揺るがないものがあるだろうか。
そんな事を考えながら、海帆は足早に歩く。
次の目的地は、世海の親友呂俊宏の店である。
オフィスビルやショッピングモールが立ち並ぶ大通りから路地裏に入ったところに、彼が経営する店がある。
世海に連れてきてもらってから、訪れるのは今回が初めてだ。
小ぢんまりとした店ではあるが、台湾テイストのこだわりがある内装と、屋台の雰囲気を醸し出すカウンターと使い込まれた木材を利用した椅子とテーブル、レトロなタイルなど、馴染みの居酒屋のような温もりを感じる居心地の良いお洒落な店だった。
一人でも複数人でも気軽に入れる気楽さもあって、若者に人気があるらしい。
もちろん、料理も美味しい。
お土産を渡すついでに夕飯も食べちゃおうかな、と思ったが、今行くと開店時間の前に着いてしまう。
開店前後の忙しい時間に煩わせるのも申し訳ないので、渡すだけ渡したら早々に帰ることにしよう。
海帆はそう決めると、道から奥まった場所にある店のガラス扉を開けた。
「すいませ~ん、まだ準備中……ミッホさ~ん! ようこそ! 来てくれたんだね、嬉しい!」
仕込み中だった店主の俊宏が、カウンターからすっ飛んできた。
「トシさん、こんにちは。開店前の忙しい時間にごめんなさい。渡したいものがあって、寄りました」
「俺すっごいヒマだよ! むちゃくちゃヒマ! 仕事ができる従業員ばっかり雇ってるから、やることないの! カウンターに立ってるだけ! だから大丈夫!」
そんなことはないだろうと思うが、お店のスタッフが有能であることは間違いないようだ。
にこにこと満面の笑みを浮かべる俊宏の後ろで、世海の特等席のテーブルの準備が始まっている。
海帆は慌てて本題に入った。
「日本から帰って来たんで、お土産を持ってきたんです。スタッフの皆さんと食べてください」
「マジで! 凄く嬉しい、ありがとう!」
喜ぶ俊宏の後ろでスタッフ達も歓声を上げている。
それじゃあ、とお暇をする海帆の腕を、俊宏はがしっと掴んた。
「俺の店に来て、何も飲まない食べない人間は一人もいないよ」
いや怖いって、と若干引き気味の海帆を強引に引っ張り、気づいたらセッティングは終わってるテーブルに着席していた。
「さあ何食べる? といってもミホさんの好みは大体把握してるから、もう作り始めてるけどね!」
「ありがとうございます」
私の好みをどうして知っているんだろう、と思うのは愚問だ。
忙しい時間に申し訳なくて海帆は恐縮するが、厨房は活気に溢れている。
こうなったら美味しくいただいて、さっさと帰ることにしよう。
そう決めた海帆は、カウンター横の冷蔵庫から瓶ビールを取り出し、席に座った。
店内のBGMには、明らかに俊宏の好みの一昔前の台湾ポップミュージックが流れていて、心地よくて落ち着く。
俊宏がニコニコしながら最初の皿を持ってきた。
「まずはこれだよね。ミホさんが好きな奴」
そう言って、青菜炒めと唐揚げがテーブルに置かれる。
台湾と言ったら定番の青菜炒めは安定の美味しさで、海帆はどこでもよく注文するのだが、なぜ唐揚げも好きだと知っているのだろう。
いけない、愚問愚問。
海帆はありがたく皿を受け取り、まず唐揚げをいただくことにする。
この唐揚げは前回食べた時に、悶絶するほど美味しかった。
いわゆる台湾風フライドチキンというのだろうか、豆腐を発酵させた調味料「腐乳」で下味をつけた、味噌やチーズに似た濃厚なコクと旨味の強い味付けがされいた。
ほんのりとした甘みと少し独特の発酵した香りが特徴で、外はカリカリ、中はジューシーで、日本の唐揚げよりも表面がザクザクとした軽い食感に仕上がり、揚げた後にかける五香粉や胡椒塩が台湾らしい風味をプラスしていくらでも食べられるのだ。
秘かに、もう一度食べたいと思っていたので、海帆は喜んだ。
「この間来てくれた時、ミホさんムチャクチャ目が輝いてたよね」
「これ凄く美味しかったんで、また食べたいと思ってたんです」
「どんどん食べて!」
俊宏はそう言って、機嫌良く海帆の真向かいにどっかりと座った。
「また来てねって言ったのに、ミホさん全然来てくれないんだもん」
「すみません、いろいろ忙しくしちゃってて」
「大変だったもんね、ご苦労様。無事に帰ってきてくれてよかったよ。もう大変だったんだから! ミホさんがいない間エリックの情緒が不安定でさ! 物凄く面倒くさいの!」
なんと答えたらいいのか分からず、海帆は曖昧に微笑んだ。
「今日は一緒じゃないの?」
「忙しいみたいですよ」
俊宏はしたり顔で頷いた。
「ミホさん迎えに行くのに無理したから、帳尻を合わせてるんだね。お土産を渡し歩くなんて、あいつがすっ飛んで来そうなことなのに。しばらくは二人一緒のところを見れないかな、残念! はははは!」
「あははは」
俊宏に合わせて笑ってみたが、声が少しだけ乾いている。
実は、一日かけてお土産を配り歩くことを伝えた時、一緒に行きたがった世海に自分が動ける日にしてほしいと言われたのだが、賞味期限を気にして一人で来ることにしたのだ。
当然、世海は怒ってしまった。
その事を言って聞かせたら、俊宏はきょとんとした顔をした後、腹を抱えて笑い転げた。
「ミホさん! 酷いことするなー! あいつ怒ったでしょう!?」
「はい、怒られました」
「そりゃそうだ!」
ひとしきり笑って、俊宏は海帆の事を感心したように見た。
「ミホさんは凄いなー。エリックの事をこんなに怒らせるの、ミホさんぐらいだよ」
「それって凄いの?」
「凄いよ! エリックはね、冷たいわけじゃないけど、自分の感情を人に揺さぶられることのない奴なんだよ。人付き合いが上手くて、そつがないんだ。でもミホさん相手だとダメだね。あんなにグラグラしてるエリック、面白すぎて見ていてすごく楽しい!」
この言葉を世海が聞いたら果たしてどう思うか。
海帆は苦笑して、青菜炒めに箸を伸ばす。
「私は怒られたくないけどな」
「ミホさんはエリックに怒られるぐらい何とも思わないでしょ」
「そんなことないよ。結構気にしいなのよ、私」
えーそうかなーと疑り深い顔をする俊宏を、少し大げさに海帆は睨む。
「そうですよ。私がエリックを怒らせてる自覚はあるけど、今回は台湾に戻ってきた時から彼は機嫌が悪かったから、その理由が分からなくて凄く困ってる」
そう言って、海帆はため息をついた。
先日、台湾に戻ってきた日。
迎えに来た世海はどこか機嫌が悪かった。
車の中でも口数が少なくムスッとしていて、まるで再会した日の再現のようだった。
いつもなら気を使って機嫌を伺ったりするのだが、海帆も世海に対して少しばかり怒っていたのだ。
オートロックに引っかかって部屋から締め出され、やむなくSNSアカウントを作らされた事もそうだが、それよりも毎日毎晩かかってくる世海からの電話の方が大変だった。
緊急の用事があるとか悩み事を聞かされるとかではなく、ただ電話がかかってきて話しをしたがるだけで、その割には会話を続けようと努力するわけでもなく、会話が途中で切れることもしょっちゅうだった。
これには、さすがの海帆も参ってしまった。
なにがしたいんだろう。
そんな疑問でいっぱいになりながら、海帆は毎晩付き合わされていたのだ。
「毎晩……」
俊宏の呟きに、海帆は無言で頷いた。
それを見て、俊宏はしばらく絶句してから呟いた。
「あいつの心意気も相当なものだな」
「トシさん?」
首をかしげる海帆に、俊宏はにっこりと笑いかけてグラスにビールを注いだ。
「あいつはね、拗ねてるんですよ」
「拗ねてるの?」
俊宏は苦笑いして教えてくれた。
「ミホさんがSNS始めたでしょう? 一番最初の相互フォローになりたかったらしいんですけど、色々と出遅れちゃって。それで拗ねてるんです」
子供みたいでしょ〜? と俊宏は笑ったが、海帆は笑えなかった。
「そんなこと……」
「そんなことで、とか思ってる?」
俊宏に先を越され、海帆は口をつぐんだ。
「意外な理由だったでしょ?」
「……そうですね」
「なんでそんな下らない理由でいちいち怒るんだ、て思った?」
「まあ、少しは」
「めんどくせーんだよガキかテメーは、みたいな?」
「さすがにそこまでは……」
俊宏はにっこり笑った。
「理解してやってください」
「……………………」
海帆は俊宏が注いでくれたグラスを見つめ、ゆっくりとそれを飲み干すと唐揚げを頬張った。
俊宏の店でたっぷりとご馳走になった海帆は、さらに大量の持ち帰り用の品まで持たされ、よろよろと帰路に着いた。
お土産を渡しに行ったはずが、それ以上のものを貰ってしまったな。
だが有難い。
出勤停止中の身なので、食費が浮くのは何よりだ。
台所に荷物を置き、冷蔵庫に入れなければいけないものを仕舞い終えると、ソファに座って大きく息を吐く。
手に持っている携帯電話を見つめ、おもむろにタップをした。
簡単な操作でSNSアプリが作動する。
世海を助けるために作った海帆のアカウントは、作成した当初の最低限の用途しか満たしていないシンプルな状態のままだった。
家族や友人達から言われるままにフォローをしていたら、まったく知らない人からフォロー申請がどんどん来て、さらにメッセージやDMまでもがひっきりなしに届いたので、通知の多さに恐ろしくなって放置していたのだ。
どうせやらないんだから、持っていてもしょうがない。
アカウント削除をすると決め、海帆は手続きを始める。
だが進めていくうちに、間違えてフォロワーの項目を押してしまった。
ずらりと並んだ見知らぬプロフィール画像が現れ、ズラズラと連なるそれらを眺めていたら、見つけてしまった。
青い水の中を泳ぐ、黄色い魚のプロフィール画像。
アカウント名から本人を連想させる要素はまるでないが、海帆は分かってしまった。
しばらく画面を見つめる。
海帆は微動だにしない。
かなり長い時間そのままでいて、海帆は携帯電話を放り出した。
そして、そのままバスルームへと逃げ込む。
画面には、青い水の中を泳ぐ黄色い魚が、映し出されていた。
読んでいただき、ありがとうございます。




