背景
神々の時代が終わりを告げ、人間の時代が始まった。
それが、このエルコスタル国における「王立歴」の始まりである。
神は人の手によって倒され、その者は英雄と呼ばれた。
人々はそれを「革命」と讃え、
神の支配から解放された新たな時代の幕開けを祝った。
――だが、神を失った国には、やがて異変が起こり始める。
人々の間に、呪いのような病が蔓延し始めたのだ。
それは収まることなく、四百年もの間、この国を蝕み続けた。
そして人々はついに、
自らの手で「神」を作り出すことに成功する。
試験管から生まれた神を左目に宿した赤ん坊が生まれる。
太陽の神を宿したその子の誕生によって、
病は確かに、一時ではあるが収まった。
だが、それは太陽が出ている時だけで、夜を支配するのは月の神の怒りだ。
しかし、それは太陽が空にある間だけのことだった。
夜が訪れると、月の神の怒りがこの国を支配する。
王立歴448年。
エルコスタル国は、激動の時代を迎えていた。
十二人目となる「太陽の子」が誕生した。
だが、「月の子」は何度試みても生まれなかった。
なぜだ。
学者たちは考える。
――作り方が間違っているのではないか。
実験は繰り返され、
やがて、ひとつの可能性が口にされた。
月の神はこの世界を捨て、他の世界に行ってしまったのではないのだろうか。
「それならば他の世界から、魂を持ってくるのはどうだろう」
その言葉をきっかけに、新たな実験が始まった。
太陽と月。
二つの神が揃わなければ、
この国に真の平和は訪れない。
そう信じて、人々は神を作り続ける。
だが、この国に生きるすべての人間は、
決して忘れてはならない罪を背負っている。
かつて、自らの手で神を殺したという――
「神殺し」の大罪を。




