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成らざる者  作者: ヒビキ
12/14

仇、追憶

「おいしかった~♪」

 ケルトの目がどことなくキラキラしている。

 みんな引き気味である。

「んじゃ、寝ますんで!」

 そういうとケルトは寝床に向かって行った。

 レイネは恐怖で体がかっちんこっちんになっていた。

(こ、怖い…)

 オクトがさりげなく言う。

「やつは俺らの中で最強だ」


 あみは過去を思い出していた。あの廃工場である。





「かつてね、餌であるはずの人間を愛するが余り…伴侶としそして子まで作った僕たちの仲間がいました…」

 見下すような目を向けられるあみ。

「そんなことはあってはならない…いろいろ厄介になるからね」

 あみは鬼の形相で相手を睨み返している。

 弱冠13歳にしてできるような表情ではない。

「だから、貴様の両親を殺し貴様も赤ん坊の頃に排除するはずだった」

 あみの表情は変わらない。

「だがどうした。貴様の母親は仲間の中でも強かった。だから僕が直々に手を下した」

「それがなんだ!」

「黙れイレギュラー!」

 あみは殴り飛ばされる。紫の血が流れる。

「血の色が青×赤なのがハーフの証拠だ。そして突然変異で瞬間再生する身体…いくらなんでも僕たちの再生力はそこまでいかない。あまりにも特異な貴様をイレギュラーと名付けてやったのさ」

「ケルトォォォォォォ!」

 あみは怒鳴った。


 そう、あみの仇にして宿敵はケルトである。


 あみは怪人の姿になるとケルトに突っ込んだ。

 ケルトも姿を変えて対応する。

 が、あのケルトが一方的にやられているのだ。

「キ……サ……マァ!」

「お前だけは赦せん!」

 複雑な構造の鋭い糸がケルトの胸元に突き刺さった。

「ゴァ!」

 青い血が飛び散る。

 そして、動かなくなった。

 あみは気が緩んでしまった。

 この一瞬の隙を付かれてしまう!

「うああああああああああ!」

 あみはケルトに上半身の大半を食いちぎられた。

「キサマ……オボエテイ…ロ…」

 ケルトはふらつきながら奥に逃げて行った。

 あみは身体の大半を失ったことにより再生力が衰えてしまった。

 そのまま気を失ってしまった。



 3日後、完全に復活し意識も戻したあみはほとんど心を閉ざしてしまった。

 出生の事実なんて知らなかった。

 最初から自分には肉親なんていないと思っていた。

 やたらと周りの目が冷たい理由もわかってしまった。

 自分を気にかけてくれるひとり以外は冷たかった。

「貴様…なんのつもりだ。」

 それがレイネとの出会いだった。

「僕はきみがなんであろうと…」

「殺されたいのか?」


「味方だ」


「な、何を…言っている…?」

 あみは完全に動揺していた。

 レイネはすでに立ち去っていた。


 この後もたびたび会うことがあれば気にかけてくれた。

 そんな中であみは中学で親友ができた。

 あみにとって初めての女友達ができたのだ。

 2年の終わりにできた友達は3年でも仲良くしていた。


 そんな中3の夏のことだった。

 いつものように塾に行った帰り…


 襲われた。

「死ね」

 少年は黄緑の体液を吹きだし、かまきりの怪人となって襲い掛かってきた。

「危ない!」

 あみは友達を守ろうと盾になった。

 それがいけなかった。

 怪人の鎌が少しだけ刺さって少しだけ出た紫の血を友達に見られてしまった。

「あみ…え…?」

 見られてしまったあみは友達を軽く気絶させ、そして怪人の胸元にアッパーをかました。

「ぐわあ………」

 怪人は崩れ去った。


 死んだ仲間の気配を察知したレイネはあみの方に近づいて行った。


 意識を戻した友達に問い詰められていた。

「あみ…あれ…なに…あみも…なんなの…?」

 あみも若干冷静さを失っておりなんでも言えばことが済むと思い込んでしまっていた。

「わたしは、もう一つの姿が…あってね…。」


 人知れずレイネが駆けつけた。物陰に潜み様子を見ている。

「友達なら…わかってくれる…よね?」

 あみはもう一つのあの姿になってしまった。

 お互いに冷静さを欠いている状態で理解を求めてはいけなかった。

「嘘……化け物…化け物!!」

 友達は叫び出して後ずさりする。

「わたしたち友達だよね…?友達ならわかってくれるよね…?」

「化け物なんかあのまま死ねばよかったのに!」


 友達はそこまで言うつもりはなかったかもしれない。

 感情的になっていてつい言ってしまったのかもしれない。

 でもこの一言でなにかが切れたあみは正気を失ってしまった。


 密かに見ていたレイネは信じられないものをみた。

 あみが人間を喰い始めていた。


 あみが人間として生きていて人間のために自分らの仲間を殺していることを複雑ながらもわかっていたレイネにとって驚きを隠せないと共に自分には敵わない相手であると確信した瞬間だった。

 なにもできずにそのむごい様を見ていた。


 あみが正気を取り戻した頃には目の前に残骸しかなかった。

 あみは人間の姿に戻って感情をなにもかも失って突っ立ってるだけのロボットのように動かない。


 レイネはあんな様子のあみを見たことがなくただただ茫然と見つめていた。


 しばらくして帰宅したあみは事の重大さをじわじわと噛み締めていた。

 そんな中来客が


 玄関を開けるとレイネがいた。

「貴様…」

 口調は鋭いがどことなく様子がおかしい。

 レイネとあみは部屋に入った。

 レイネが聞く。

「きみ……あれはどういうことだ」

「……!見てたのか貴様」

 あみがいきり立ちそうになったとき

「寂しかったな」

 レイネが抱いてきた。

「な……。」

 突然のことにあみは動揺しっぱなしでついに泣き出した。



 そのあと、たびたびあみは自分の身体を呪って死の願望に駆られたりした。

 レイネと会う機会は減った。が、会う度に優しくしてくれた。段々からかわれることも多くなっていったが、恩があるため殺したりはしなかった。そしてあみは中学卒業まで人間と関わらなくなった。




(そんなこともあったな懐かしいw)

 あみは宿敵の復活を悟ったことにより新たに仇討ちを決意したのだった。


久々に書きました


次がいつになるかはわかりませんが



書きたくなったら書きにきます





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