人魚の食卓
「お腹いっぱーい!ご馳走様ー!」
瑠璃さんは自身のお腹を擦り、水槽に寄りかかる。
瑠璃さんはほぼ一人で鍋いっぱいのラフテーを食べ尽くしていた。
ゴーヤーチャンプルーもジューシーもしっかりおかわりをしていたので、軽く5人前は食べていたのではないだろうか。
「お粗末様。満足できたかな?」
「大満足!泰造ちゃんって料理上手だね!」
「口にあってよかったよ!
ラフテーが気に入ったようだが、瑠璃ちゃんは肉が好きなのかな?」
「うん!普段食べたことがない味がして面白かった!
柔らかくて口の中でほどけていくし、じゅわって美味しいエキスがでてくるし、味が濃くてだんだんハマって食べるのが止まらなくなっちゃった!」
瑠璃さんはラフテーを思い出したのか、恍惚とした顔で両頬を押さえる。
彼女の様子に泰造じいちゃんは豪快に笑う。
「そうかそうか!大分お気に召してくれたみたいだな!
瑠璃ちゃんは普段何を食べているんだい?
一応海鮮は外したんだが、海鮮を食べているようだったら次は用意しておくぞ!」
「海鮮って魚とか貝とかだよね?
いつも食べてるよ!その辺泳いでる魚を捕まえたり、貝はこじ開けて食べてるかな。
あ、晴れてるときに岩の上に魚を置いておくと表面が少し固くなるから食感変わって美味しいよ!
置きすぎると臭くなっちゃうし、鳥とか他の子達に取られる可能性があるから注意が必要だけど」
瑠璃さんが生魚を丸ごと食べている食事風景を想像する。
大分ワイルドな食事シーンである。
だが、それが彼女の日常なのだろう。
泰造じいちゃんは彼女の話に相槌を打ちながら何かを考えている様子だ。
「なるほど…それならば生魚よりかは火を通したもののほうが瑠璃さんに楽しんでもらえそうだな!」
「よくわからないけど、いつもと違う料理が食べられるってこと?早く食べたい!!」
キラキラした顔をした瑠璃さんが尾ビレでバシャバシャ水を叩く。
僕でもわかる。尾ビレで水を叩いているのは瑠璃さんの感情が昂ぶっているからなのだろう。
「そうだな…次は来週はどうかな。
そろそろ島の祭りがあるから準備だったり、漁の手伝いやダイビング講習のフォローを頼まれてたりしててバタバタしそうでな」
「えー来週まで待たなきゃダメなの?
でも泰造ちゃんが忙しいならしょうがないか…来週楽しみにしてる!」
瑠璃さんはしょんぼりしながらもじいちゃんの提案を受け入れる。
「そうしたら今日はそろそろ帰ろうかな!
ここって奏多と会ってた場所に近い?」
「桟橋のことだよね?うん、近いよ」
「そう!そしたらそこまで運んでー!
運動して帰らなきゃ…」
瑠璃さんは自分のお腹を擦る。
そういえば体重を気にしてる発言もあったなと思い出す。
「桟橋って船着き場側のところか?
それならそこまで瑠璃ちゃんを見送ろう!」
じいちゃんは腕まくりをして瑠璃さんが入ってる台車を押す。
僕は水槽が落ちないように支えながら桟橋へと向かう。




