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じいちゃんの秘密兵器

太陽の光が顔を照らす。

開け放たれた窓から、沖縄の湿った朝の風が入ってくる。


身体が怠く、頭に鈍痛がある。

どうやら寝すぎたらしい。

睡眠が浅い日々が続いていたため、久しぶりの睡眠に身体が驚いているように感じる。


昨夜は瑠璃さんとの会話のあと、泰造じいちゃんのご飯を食べて寝た。

量は食べれなかったが身体に沁みていく感覚がした。

寝れないだろうとベッドに横になるといつの間にか眠気に襲われた。


身体を起こし、ベッドの上でぼーっとしていると元気な声と共に泰造じいちゃんが部屋に入ってきた。


「グッドモーニング!奏多!

今日も気持ちのいい朝だぞ!

美味しい朝ごはんができてるからな、準備ができたらおいで!」


--------------


ダイニングに向かうとじいちゃん特製の朝ごはんが大量に用意されている。


「昨日の夜に少し食べていたみたいだが、お腹は空いてるだろう!

いっぱい食べろよ!だが無理はしないようにな!」


じいちゃんの気遣いに有難いと思う一方で申し訳なくなる。

いただきますと手を合わせて食べ始めるが、すぐにお腹がいっぱいになってしまった。


ご馳走様でしたと箸を置く僕に笑顔で「よく食べたな!」とじいちゃんは言う。


「奏多!瑠璃ちゃんのところに行く前に寄りたいところがあるんだが、少し付き合ってくれないか?」


「うん、いいよ。どこに行くの?」


「ちょっとばかし秘密兵器をな!」


そう言うとじいちゃんは茶目っ気たっぷりの顔で笑った。


---------------------------


連れてこられたのは魚屋とダイビングショップを兼ねているお店だった。


「お、泰造ちゃんー!待ってたよ!

奏多くんもいらっしゃいー!」


僕たちを出迎えてくれたのはオーナーである比嘉友蔵(ひがともぞう)だった。

彼は泰造じいちゃんの友人で、僕がこの島に到着した日から毎日のようにじいちゃん家に来てくれていた。


「待たせたな!それで例の物は?」


「もちろん準備してるよ!ちょっと待っててねー

修平(しゅうへい)ー!すまんがしばらく店番を頼む」


「えー俺勉強中なんだけど!ったく…」


友蔵さんが店の奥に呼びかけると僕と同年代の男の子が出てきた。

身体つきがしっかりしており、日に焼けた肌に短髪の黒髪をしており厳ついイメージを想起させる。


彼と入れ替わりで友蔵さんは店の奥に消えていった。


「修平くん、久しぶりだな!」 


「泰造さんお久しぶりです。

その子はお孫さんっすか?」


「うぬ!孫の奏多だ!

奏多、こちらは修平くんだ」


泰造じいちゃんは僕の肩をとんと叩き、彼に紹介してくれた。


「初めまして。泰造の孫の照屋奏多です」


「奏多な。もしかして高校生?

俺今中3なんだけど、奏多は?」


「僕は高1ですね」


「んじゃほぼタメじゃん!

敬語とかなしでいいよね?俺のことは修平って呼び捨てでいいよ」


修平はニッと笑う。


じいちゃんも修平も筋肉質でしっかりとした身体に日に焼けた肌をしている。

肌に筋肉がついておらず日焼けしていない白い身体の僕が並んでいると場違いのような気がして落ち着かない。


「奏多は本州から来たんだろ?

いいよなー!店も学校もなんでもあるじゃん。

俺さ、高校に行きたくて!

そうすると島を出なきゃいけないからいろいろ準備が大変でさ…」


修平は島内での生活の不満を述べている。

僕とじいちゃんは口を挟めずに黙って聞いていた。


修平の話を聞いていると友蔵さんが台車で人一人が入れそうなほど大きな水槽を持って戻ってきた。


「こら、修平!あまり人を困らすな」


友蔵さんは修平の頭を叩く。

修平はいてっと頭を擦りながらもぶーぶー文句を言っている。


「二人とも、修平が困らせて悪かったな!

ほら、泰造ちゃんご所望の品だぞ」


「おお、助かる!友蔵ありがとな」


「いいってことよ!どうせ倉庫で眠ってたやつだしな」


ニカッと友蔵さんは笑う。


「それにしても泰造ちゃん、こんな大きなやつどうするの?

デカいやつでも捕まえたわけ?」


「あーそれはまぁ…企業秘密ってやつだ」


じいちゃんは人差し指を口元に持っていき「秘密」のポーズをとる。


「またまた泰造ちゃんってば!

まぁ気が向いたときに教えてくれ」


友蔵さんはそれ以上追求するでもなく、気持ちのいい笑い声をあげた。


「よし、水槽も受け取ったし奏多そろそろ行くか!」


じいちゃんは友蔵さんから譲り受けた水槽の台車を押しながら出口へと向かう。

僕も友蔵さんと修平に向かって会釈をするとじいちゃんの後に続く。


「あ、奏多ー!今度本州のことについて教えてくれ!」


元気な修平の声に僕は上手く笑えない笑顔でその場をあとにした。

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