第6話:大番狂わせの帰還
「ずいぶんと賑やかですね、皆さん」
聞き覚えのある落ち着いた声に、ガイとセリアの心臓が跳ね上がった。
トールの後ろから姿を現したのは、傷一つない綺麗な顔をした青年──レイだった。
背中には、以前と変わらぬ巨大なバックパックを軽々と背負っている。
「れ、レイ……!? ば、化け物……!?」
セリアが悲鳴を上げた。
「生きて……なぜ生きている!? Aランクの変異種がいたはずだぞ!」
ガイは現実を受け入れられず、叫んだ。
レイは冷ややかな視線をガイに向け、一歩ずつ近づいていく。ギルドの冒険者たちも、Fランクのポーターが無傷で生還したことに困惑し、静まり返った。
「ええ、いましたよ、ミノタウロス・バリアント。とても強暴な怪物でした」
レイは淡々と言った。
「じゃあ、どうやって逃げたんだよ! Fランクのお前が、あの怪物から逃げ切れるわけがない!」
ガイの追及に、レイはくすりと笑った。
「逃げていませんよ。──倒したんです」
「はぁ!?」
ガイが呆れたような声を出す。ギルド内からも「おいおい、冗談だろ」「FランクがAランクを?」と失笑が漏れた。
「証拠なら、ここにあります」
レイはバックパックから、拳大の禍々しい輝きを放つ結晶を取り出し、受付のカウンターにドン、と置いた。
それは、純度の高い【Aランク・ミノタウロスの魔石】だった。
さらに、レイはもう一つの巨大な結晶を取り出す。
「ついでに、第5層の階層主も邪魔だったので、ソロで片付けておきました」
それは、間違いなく『ストーン・ゴーラン』の魔石だった。
ギルド全体が、凍りついたような静寂に包まれた。
受付嬢のミーシャが、震える手で魔力測定器を魔石にかざす。ピピッ、と高い電子音が響き、確定のランプが点灯した。
「……ほん、もの……。Aランク変異種の魔石、および第5層階層主の魔石に、間違いありません……!」
ミーシャの宣言に、ギルドが爆発したような騒ぎに包まれた。
「嘘だろ!? ソロで階層主を!?」
「あのFランクのレイがか!?」
「あり得ない……! 何かの間違いよ!」
セリアが頭を抱えて叫ぶ。
ガイは、目の前の現実が理解できず、ただただ口をパクパクと開閉させることしかできなかった。
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