第50話: 主神の威光
神殿の奥へと進むレイたちの前に、突如として空間全体が押し潰されるような、凄まじい重圧が立ち塞がった。
「―――そこまでにしなさい、不純なるパグどもよ」
空間の裂け目から現れたのは、巨大な黄金の椅子に腰掛けた、光り輝く神の巨像。
主神の一角にして、世界の『重力と物理運動』を司っている物理神 『神将テュポン』であった。
彼の全身から放たれる目に見えない重力の波は、存在するだけで周囲の空間を物理的に歪め、光の進む方向さえも捻じ曲げてしまうほどであった。
「加護も持たぬ不完全な人間が、神々の聖域を汚すなど許されることではありません。その傲慢な肉体ごと、無限の重力の底へ沈みなさい」
テュポンが手をかざすと、レイたちの足元の空間がドス黒い超重力の球体へと変化し、周囲の物質を凄まじい勢いで吸い込み始めた。
物理法則そのものが「崩壊」を指示しているため、通常の魔術防御では防ぐことができない、絶対的な消去結界である。
「トール、下がって。この重力は物理的な防御じゃ耐えられないよ」
レイは慌てることなく一歩前へ出ると、迫り来るブラックホールの中心点を、自身の【神眼の支配者】で冷静に見据えた。
【鑑定対象:物理神テュポン】
特性:重力制御、空間圧縮。
脆弱性:彼が制御している重力波は、世界システムの『物理定数ライブラリ』からリアルタイムで取得されています。このライブラリとの接続を一時的に切断すれば、ただの空箱に変わります。
「お前たちが『神の奇跡』って呼んでるものは、ただシステムから力を借りてきてるだけだよ。・・・・・・その接続権限、ここで一回止めさせてもらうね」
レイの落ち着いた声が神殿に響く。彼の金色の瞳が鋭く輝き、テュポンの『重力制御コード』を直接ハッキングした。
書き換え:テュポンの『物理ライブラリ接続権限』を【即時無効化】します。
ピキィィィン・・・・・・・!
空間を押し潰そうとしていた超重力のブラックホールが、一瞬でただの「温かい風」へと変化し、跡形もなく消え去った。
「な・・・・・・何ですかこれは・・・・・・!? 私の重力制御が・・・・・・機能していない・・・・・・!? 一体、何をしたのですか……………………!?」
テュポンが初めて、その黄金の巨躯を激しく揺らして驚愕した。
「言ったでしょ。権限を一時的に無効化したって。あなたはもう、ただの巨大な石像に過ぎないよ」
レイは穏やかな眼差しをテュポンに向け、手にした【虚空の修正剣】を静かに一振りした。
それは物理的な斬撃ではなく、テュポンという「オブジェクトの存在データ」を、世界のシステムから切り離す、完全なデバッグの一撃であった。
「が、は・・・・・・!? 私の神聖なるデータが・・・・・・消去されていく・・・・・・! 馬鹿な、人間風情が、神を『消去』するなど・・・・・・!」
テュポンの巨大な身体が、数式の美しい光の粒子となって崩れ落ちていく。レイはその光を見つめ、静かに手を合わせると、一歩も立ち止まることなく、さらに奥の神殿へと歩みを進めた。
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いつも本作をお読みいただき、本当にありがとうございます!
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タイトル:『森羅家の生活魔法は戦闘不能? 〜カフェの雑用と馬鹿にされた三姉弟、Fランクから最強へ駆け上がる〜』
あらすじ:「カフェの雑用魔法」と蔑まれた三姉弟が、知恵と工夫で地味な日常魔法を昇華させ、Fランクから最強へと駆け上がる成長ファンタジー!
本作とはまた違った魅力の詰まったお話になっています。
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※7/31から投稿開始です。
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