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第48話:そして神々の領域へ

生命神ユグドラシルの頬に、レイが優しく手を添えた瞬間、彼女の瞳から、大粒の緑色の光の涙がハラハラと零れ落ちた。


千年間、世界のすべての生と死を淡々と処理し続けるだけの「道具」として酷使されてきた上位神のシステムが、レイのハッキング技術によって、ついにその呪縛の記述を上書き(デバッグ)されたのだ。


「ああ……。私の、内側のエラー(悲しみ)が……消えて、いく……。世界を……直す者よ……」


ユグドラシルは穏やかな、人間の女性のような美しい微笑みを浮かべると、レイの前で静かに頭を垂れた。


「最上位管理者レイ。……世界樹のすべての権限を、貴方に委ねます。……どうか、あの最深部にいる『主神』たちの傲慢なルールから、この世界を救ってください……」


【ユグドラシル(生命神)】

状態:完全救済(レイの魔力と同調・世界樹の管理権限を譲渡)

固有能力:『生命循環(ランクS)』『全自動データ修復』


『条件達成:上位生命神の救済。世界樹の全アクセス権限を獲得。レイのレベルが上限を突破します。Lv 32 → Lv 50』


レイの脳内に、世界システムからの最終アナウンスが響く。しかし、今のレイにとって、ランクやレベルといった神の作った数字など、どうでもいいものだった。彼の目的はただ一つ──この世界の歪んだシステムを完全に解体し、誰もが理不尽に虐げられない、優しい世界を再構築することだけだ。


「ありがとう、ユグドラシルさん。ゆっくり休んで。これからは、世界樹もみんなを苦しめるためじゃなく、みんなを健やかに育てるために使わせてもらうよ」


レイはユグドラシルの頭を優しく撫でると、彼女は心地よさそうに光の粒子となって世界樹の幹へと溶け込んでいった。


今や、世界樹ユグドラシルはレイの支配下に置かれ、人間界のすべての加護の暴走や天変地異は、完全に鎮静化されていた。人間界は、レイという一人の少年の手によって、神々の怒りから完全に守られたのだ。


「──素晴らしい手際だ、加護なき少年よ」


世界樹の幹が大きく割れ、その奥に、これまでの虚空とは完全に次元の違う、まばゆい黄金の光に満ちた「大神殿の玉座」へと続く、巨大な光の階段が姿を現した。


階段の先から響いてくるのは、世界を創造したとされる、絶対なる主神たちの傲慢な神威。そこは、世界システムの最高中枢──『神聖領域・オリュンポス』。


「人間の常識(Aランク)も、世界の防衛システム(執行官・審判官)も、これで全部終わったのかな?」


レイは【虚空の修正剣】を静かに鞘へと収めると、後ろに控える最強の仲間たちの顔を、一人一人優しく見つめ、ふわりと穏やかに微笑んだ。


アルテ、トール、ブリュンヒルデ、ガウェイン、リリス、そしてヘパイストスやユグドラシルたちの想いを乗せて、少年の瞳は、かつてないほどに力強く、美しい黄金の輝きを放っている。


「さあ、みんな。ここから先は……この世界を勝手なルールで縛って、みんなを苦しめてきた『主神様たち』の傲慢なシステムを、僕たちの手で完全に解体しに行こうか」


レイは穏やかな、しかし絶対の支配者としての足取りで、黄金の階段へと一歩を踏み出した。

第1章完結!!

第2章から、7:00の1日1回更新となります。


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