第4話:スキル略奪
「グルアアアアアン!!」
第5層の階層主、巨大な岩石の巨兵『ストーン・ゴーラン』が咆哮を上げ、丸太のような豪腕を振り下ろしてきた。
まともに喰らえば、人間など一瞬で肉塊に変える一撃。だが、レイの金色の瞳──【神眼の支配者】は、すでにボスの全貌を捉えていた。
【ストーン・ゴーラン(階層主)】
HP:8000 / 8000
【保有スキル】
・『金剛不壊(ランクC)』:物理ダメージを70%カット。
(物理ダメージ70%カット、か。なら──)
レイは不敵に笑い、右手をかざした。
「その『金剛不壊』、もらうぞ」
『申請を受理。スキル【金剛不壊】を奪取します──成功しました』
カチリ、と頭の中で何かが嵌まる感覚。同時に、レイの皮膚がうっすらと鈍い金属のような輝きを帯びる。
逆に、スキルを強奪されたストーン・ゴーランの岩の身体から、魔力の輝きが急速に失われ、ただの「脆い砂岩」のようになっていくのが見えた。
ドガァァァン!!
豪腕がレイの脳頭頂を直撃する。凄まじい衝撃波が周囲の空気をごうごうと揺らした。
だが──。
「……あれ? 全然痛くないな」
レイは片手でボスの巨大な拳を受け止めていた。
もともと所持していた【痛覚鈍麻】に加え、奪ったばかりの【金剛不壊】が発動したのだ。ダメージは完全に遮断され、かすり傷一つ付いていない。
「次は、俺の番だ」
レイは拳を深く引き絞り、【剛力】を発動させた。
「オラァッ!!」
渾身のストレートが、ゴーランの胸部に炸裂する。
物理カットを失い、ただの岩の塊に成り下がったボスに対し、レベル16+『剛力』の破壊力は圧倒的だった。
パリィィィン!!!
ガラスが割れるような凄まじい音を立てて、5メートルを超える巨躯が粉々に砕け散った。
『階層主の討伐を確認。経験値を獲得しました』
『レベルが上昇します。Lv 16 → Lv 22』
『初・階層主ソロ討伐ボーナスにより、スキル【岩石操作(ランクD)】を獲得しました』
周囲に飛び散る岩の破片のなか、レイは深く息を吐いた。
手元には、ゴーランがドロップした巨大な『大魔石』と、激レア報酬である『大地の守護指輪(Cランク装備)』が転がっている。
「一撃、か。俺は本当に……とんでもない力を手に入れちまったんだな」
レイは指輪を拾い上げ、指にはめた。体内にさらなる魔力が満ちていくのを感じる。
レベルはすでに22。これは、彼を見捨てたガイ(レベル24)の背中を、たった2戦で捉えかけていることを意味していた。
「待ってろよ、ガイ。お前たちの嘘、全部ひっくり返してやる」
レイは地上への帰還の途についた。
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