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第34話:国軍精鋭、特務騎士団の襲撃

レイたちが『世界の終層』を進撃し、千年前の神話級の遺物や英雄たちを次々と配下に従えているという情報は、王都の教会、そして国軍の最高上層部へと瞬く間に伝わり、多大なる恐怖と危機感を植え付けていた。


「加護なき者が、世界の根幹を汚している。これ以上の放置は、神への冒涜であり、国家の危機である」


第18層、周囲を巨大な氷の円柱が囲む、古代の神殿のような広大なエリア。


レイたちが歩みを進めていたその時、前方の空間が不自然に激しく歪み、まばゆい転移の光が炸裂した。


光の中から現れたのは、総勢二十名に及ぶ、まばゆい純金の甲冑に身を包んだ騎士たち。彼らの胸元には、王都国軍の最高精鋭であることの証──『教皇直属特務騎士団』の紋章が刻まれていた。全員が名実ともにAランク、あるいはそれに準ずる実力を持つ、現代の「加護持ち」の最高峰たちである。


「見つけたぞ、加護なき反逆者レイ!」


騎士団の先頭に立つ、立派な髭を蓄えた大隊長が、聖なる光を放つ大剣をレイに向けて突きつけた。彼の額には、神の祝福を一身に受けた証である、巨大な教会のルーンが眩しく明滅している。


「お前の存在、そしてその不気味な瞳は、世界の秩序システムを著しく乱すバグである! 大人しくその眼を国へと差し出し、一生を地下迷宮の檻で過ごすか、ここで神の加護の前に灰となるか、選ぶが良い!」


二十名のAランク精鋭が一斉に武器を構え、その加護による圧倒的な威圧感プレッシャーの合算が、周囲の永久氷壁をビリビリと震わせる。


「わざわざこんな世界の底まで、僕に会いにきてくれたんだ。遠いところをご苦労様」


レイは一歩前に出ると、彼らの殺気に満ちた視線を真っ向から受け止めながら、困ったように眉を下げ、ふわりと優しい笑みを浮かべた。その口調はどこまでも穏やかで、まるで旧友に再会したかのような柔らかさだった。


だが、その金色の瞳──【神眼の支配者】の奥底には、彼らのすべてのステータスを見透かす、絶対的な零度が宿っていた。


【鑑定対象:特務騎士団の精鋭たち】

状態:神聖な加護による多重バフ。攻撃力・防御力が通常の5倍に固定。

脆弱性:全ての連携が「神のシステムが正常に機能すること」を前提としている。記述の書き換えに対する耐性が皆無。


「国軍の精鋭さんたち、ね……。お前たちのその輝かしい加護の輝き、僕の眼から見れば、ただの張り子のハリボテだ」


レイの声から、一切の感情が消え失せた。


「何だと……!? 無能の加護なし風情が、神の祝福を愚弄するか!」


「神様の加護という、甘いおしゃぶりを咥えたままの赤ん坊が、僕たちに勝てると思わないでほしい。──ガウェイン、ブリュンヒルデ、リリス。現代の『加護持ちの天才たち』に、本物の『現実』を教えてあげて」


レイが優しく微笑みながら、静かに右手を振り下ろした。


現代最強の加護持ち集団と、神話の加護なき逆襲者たちの、次元の違う全面戦争が、今ここに幕を開けた。

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