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神眼の支配者 ~ハズレスキル【鑑定】が覚醒したので、俺を見捨てたSランク(予定)パーティを底辺から置き去りにします~  作者: イヌの名前はあとむ


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第31話:王都・バルト伯爵家の自滅

レイが最果ての都市ゼノスで着実に知名度と実力を上げている頃、王都オウラシオンの中心部に位置する高貴な貴族街では、誰も予想だにしなかった大事件が起きていた。

「動くな! これよりバルト伯爵家に対し、国家反逆および不法魔薬流通の容疑で強制捜査を行う!」

日の出とともに、まばゆい金の甲冑を身に纏った王宮直属の近衛兵たちが、バルト伯爵家の巨大な屋敷の門を叩き割り、怒涛の勢いでなだれ込んでいった。

「な、何事だ! 無礼者め、ここは由緒正しきバルト伯爵家であるぞ! 控えよ!」

屋敷の奥から飛び出してきたのは、豪華な絹のローブを身に纏った、血色の悪い中年男──バルト伯爵だった。かつてレイを無能としてダンジョンに置き去りにした元リーダー・ガイの父親である。

だが、近衛兵の隊長は冷酷な目で伯爵を見据え、重い鉄製の手錠をその細い手首に容赦なく叩きつけた。

「言い訳は宮廷の裁判所で聞こう、バルト伯爵。お前がゼノスの闇組織『黒い牙』と癒着し、禁忌の魔薬『神の涙』を大量に横流ししていた決定的な証拠が、冒険者ギルド総本山へ匿名で提出されたのだ」

「な、何だと……!? ば、馬鹿な、あの取引は完全に秘匿されていたはず……! なぜ、なぜバレた……!?」

バルト伯爵は、まるで魂を抜かれたようにその場に崩れ落ちた。

原因は、あまりにも単純、かつ完璧な理由だった。

レイがゼノスのダンジョン『大巨人の足跡』で、自分を狙ってきたバルト伯爵家の刺客たちを落石の罠で返り討ちにした際、彼の【神眼の支配者】は、死にゆく刺客たちの脳内にある「記憶ログ」と、彼らが持っていた通信魔導具の「データ履歴」を完璧に抽出し、バックアップ(保存)していたのだ。

レイは、アルテに命じてその膨大な暗部データを綺麗に書類と魔導映像として整理させ、王都のギルド総本山、さらにはバルト伯爵家と対立している他の有力貴族の元へ、適切なタイミングで「匿名」で送りつけていた。

加護と権力、そして神のシステムの恩恵を一身に受け、平民を虫ケラのように扱ってきた高貴な貴族は、レイが直接王都へ赴いて手を下すまでもなく、自らが撒いた悪行の「因果」によって、勝手に社会の奈落へと叩き落とされたのだった。

「……そっか。バルト伯爵家、本当に捕まっちゃったんだね」

ゼノスの宿屋のテラスで、届けられた王都の新聞を眺めながら、レイはふわりと優しい苦笑を漏らした。手元には、アルテが丁寧に淹れてくれた温かい紅茶がある。

「はい、マスター。バルト伯爵家の資産はすべて国に没収され、元リーダーのガイも、爵位剥奪に伴い平民へと落とされる予定です。私たちの手を一切汚すことなく、完全な社会的デバックを完了しました」

「ありがとう、アルテ。君が細かくデータを整理してくれたおかげだよ。本当に助かった」

レイはアルテの頭を優しく撫でると、アルテは嬉しそうにそのサファイアの瞳を細めた。

「自業自得だぜ。俺たちを無能扱いして見捨てた罰が、こんな形で返ってくるとはな」

トールが果物を齧りながら、すっきりとした顔で言う。

「うん。でも、これで王都からの煩わしい羽虫は、もう来なくなるね。……さて、それじゃあ僕たちの次のお仕事の話をしようか。オズワルドさんから、面白い情報を聞いたんだ。人類未踏の永久凍土にある世界最深のダンジョン──『世界の終層』の門が、いよいよ僕たちにも開かれるみたいだよ」

レイは金色の瞳を優しく輝かせ、まだ見ぬ世界の深淵へと思いを馳せた。少年の容赦なき逆襲は、人間の小さな権力争いを置き去りにして、世界の根幹へとその舞台を進めていく。

「少しでも面白い、続きが気になると思ってくださったら、ページ下部の【ブックマーク】や【評価】で応援していただけると励みになります!」

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